2001 Fiscal Year Annual Research Report
メイガ科昆虫におけるフェロモンおよび寄生選好性の変異と種分化
Project/Area Number |
13460021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田付 貞洋 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40163480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土田 浩治 岐阜大学, 農学部, 助教授 (00252122)
星崎 杉彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (10270894)
石川 幸男 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60125987)
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Keywords | メイガ科 / 性フェロモン / 配偶行動 / 寄主選好性 / 地理的変異 / 集団内変異 / 種分化 |
Research Abstract |
アズキノメイガにおけるメス性フェロモンの遺伝的変異:集団内では性フェロモンの大きな変異は稀であるが、松戸市産のメス性フェロモン成分比は3種のタイプに分かれた。確立した系統間の交雑実験から、この変異はメンデル則に従い遺伝することがわかった。家族分析により、タイプ内で成分比を変える別の遺伝因子の存在も示された。他の生息地、計11地点を調査したところ、フェロモンタイプの存在比率には地理的変異がみられた。また、地域によって、同一タイプ内で交配がおこる場合と、異なるタイプ間の交配もおこる場合があることが示された。 コブノメイガにおけるメス性フェロモンの地理的変異:既報の地理的変異に基づく3種の合成ブレンド(日本型、フィリピン型、インド型)を用いて、国内13地点、および、中国(杭州)、フィリピン(ボホール島)で野外誘引試験によりオスの性フェロモン反応性を調べた。その結果、国内全ての調査地点、および、日本への主要な飛来源の一部とされる中国杭州では、いずれも日本型にだけオスが誘引された。さらに、フィリピン型フェロモンへの反応が予測されたボホール島でも日本型だけに活性が認められ、フィリピンにおける再調査の必要性が示された。 ニカメイガにおけるイネ集団とマコモ集団の関係:配偶行動に関する性質を比較した。交尾時間はイネ集団でマコモ集団より顕著に早かった。メスのフェロモン生産量はイネ集団でマコモ集団よりも有意に多く、また、フェロモンに対するオスのEAG反応はイネ集団でマコモ集団よりも大きかった。これらは両者間に生殖隔離があることを示している。集団間の交雑によりF1およびF2を得た。F1、F2ともに交尾時間は両親の中間にピークがあり、本種の交尾時間はポリジーンによる遺伝的支配下にあると思われた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kawazu, K., O.Setokuchi, K.Kohno, K.Takahashi, Y.Yoshiyasu, S.Tatsuki: "Sex pheromone of the rice leaffolder moth, Cnaphalocrocis medinalis : synthetic Indian and Philippine blends are not attractive to male C. medinalis, but are attractive to C. pilosa in the south-western islands in Japan"Applied Entomology and Zoology. 36. 471-474 (2001)
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[Publications] Kawazu, , K., K.Nagata, Z.Zhang, H.Sugie, S.Tatsuki: "Comparison of attractiveness in Japan and China of three synthetic pheromone blends based on geographic variations in the rice leaffolder, Cnaphalocrocis medinalis"Bulletin of Entomological Research. (accepted). (2002)
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[Publications] Kawazu, K., S.Tatsuki: "Diel Rhythms of calling behavior and temporal change of pheromone production of the rice leaffolder moth, Cnaphalocrocis medinalis"Applied Entomology and Zoology. 37(1)(accepted). (2002)
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[Publications] Samudra, I M., S.Hoshizaki, Y.Ishikawa, S.Tatsuki et al.: "Temporal differences in mating behavior between rice-and water-oats-populations of the striped stem borer, Chilo suppressalis"Applied Entomology and Zoology. 37(2)(accepted). (2002)