2002 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫細胞のカロチノイド透過性を支配する分子機構の解明
Project/Area Number |
13460028
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
土田 耕三 国立感染症研究所, 放射能管理室, 主任研究官 (40231435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 博 九州大学, 農学部, 教授 (10038268)
森林 敦子 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 主任研究官 (20072944)
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Keywords | 昆虫 / カイコ / リポホリン / カロチノイド / 脂質運搬 / StAR |
Research Abstract |
リポホリンは脂質やカロチノイドを体の隅々まで運ぶが、器官によって受け取る脂質に偏りのあることを明らかにした。たとえば、脂肪体はジアシルグリセロールを多量に取り込み、皮膚は、ハイドロカーボンを取り込み、絹糸腺はカロチノイドを多量に取り込む等、リポホリンが運んでいる脂質の取り込みに特異性のあることがわかった。この組織特異的運搬のメカニズムを明らかにするべく研究を発展させた。カイコにはカロチノイドの摂取や輸送に関わる遺伝子群が知られ、この遺伝子の突然変異体も保存されている。これら遺伝子の産物は、カロチノイドと特異的に結合するタンパクであろうと長い間想像されてきたが、最近まで実体は明らかにされなかった。そこで、カロチノイドと特異的に結合するタンパク(カロチノイド結合タンパク、Carotenoid Binding Protein, CBP)を絹糸腺から分離精製した。CBPは、カロチノイドの存在を示す黄色い器官に存在し、組織特異的な発現をしていることがわかった。また、カロチノイド関連遺伝子のうちY遺伝子型にはCBPが存在し、+^Y遺伝子型ではCBPはみつからなかった。CBPcDNAシークエンスから、カイコCBPは、ヒト由来のSteroidogenic Acute Regulatory Proteins (StAR)と相同性をもち、特に脂質結合部位(StAR related lipid transfer domain, START)が保存されていた。カロチノイドが絹糸腺に特異的に取り込まれるには、CBPが必要であり、CBPがない器官には取り込まれない。これらによってリポホリンからカロチノイドを受け取る事ができ組織特異的運搬が可能になるものと思われる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yamauchi Y.: "cDNA and deduced amino acid sequence of apolipophorin-III from Agrius convolvuli"Applied Entomology and Zoology. 35. 21-26 (2001)
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[Publications] Funatsuki K.: "Rapid identification of Bombyx mori cells using PCR amplification following a direct for genomic DNA preparation"J. Insect Biotechnology and Sericology. 70. 129-136 (2001)
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[Publications] Tabunoki H.: "Isolation, Characterization and cDNA Sequence of a Carotenoid Binding Protein from the Silk Gland odf Bombyx mori"J. Biological Chemistry. 277. 32133-32140 (2002)
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[Publications] Nakajima Y.: "Possible horizontal transfer of mariner-like sequences into some invertebrates including lepidopteran insect"J. Insect Biotechnology and Sericology. 71. 109-121 (2002)
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[Publications] Jouni Z.: "Transfer of cholesterol and diacylglycerol from lipophorin to Bombyx mori ovarioles in vitro : role of the lipid transfer particle"Insect Biochemistry and Molecular Biology. 33. 145-153 (2003)
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[Publications] 森林敦子: "ケブカクロバエ成虫の卵巣発育におけるエクジステロイドホルモン及び孜々湯の変動について"Medical Entomology and Zoology. 54. 1-8 (2003)