2004 Fiscal Year Annual Research Report
環太平洋における過去200年間の流域地表環境と土砂流出フラックス変化
Project/Area Number |
13460066
|
Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
丸谷 知己 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (40112320)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 哲 宮崎大学, 農学部, 助教授 (00231150)
清水 収 宮崎大学, 農学部, 助教授 (20178966)
戎 信宏 愛媛大学, 農学部, 助教授 (60176782)
菊池 俊一 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (10250490)
|
Keywords | 地表環境 / 水系解析 / 流域スケール / 土砂流出フラックス / GIS解析 / 河床堆積土砂 / 浮遊砂 / 水系データベース |
Research Abstract |
本研究は、流域の地表環境を(1)地形構造、(2)生態系の組み合わせとして把握し、これらと生産土砂量、滞留土砂量、流出土砂量との関係を明らかにし、これに基づいて土砂流出フラックス(単位時間、単位面積あたりの流出土砂量)を予測しようとするものである。 まず、GISとリモートセンシングを用いて流域地形解析と地表環境解析を行った(戎・古川・丸谷、2003)(伊藤・藤井、投稿準備中)。さらに、流域スケールでの地形(流域面積・形状、水系)解析を行い、生態系を森林、耕地などのパッチモザイクの集合体として把握し、分布、形態、規模の時間的変化を明らかにした。これらの解析を行うために、国土地理院の数値標高データと空中写真、ランドサットTMデータ(既存)を収集し、コンピューターで解析した。 リモートセンシングで評価された地表環境と地表侵食の連鎖や相互作用を解明するため、樹林の解析手法を改良し(Kikuchi,2003)、森林動態と地表侵食、土砂流出、地すべりとの関係を解明した(吉田・宮地・菊池ほか、2003)(国広・菊池・野田、2003)(富永・菊池、2003)(中村・菊池・高谷、2003)(中村ら、2003)。また、相互作用という観点から立地依存性に着目し、土地利用の形成モデルを研究した(光田・伊藤、2003)(光田・伊藤、2004)。一方、土砂流出とそれによる土砂災害については、実際の災害事例の解析に基づいて清水、菊池、丸谷によって行われた(清水、2004)(栫・菊池、2004)(岩永・丸谷、2001、研究発表)(丸谷、2003、著書)。最後に、本研究フィールドのうち九州椎葉地域一ツ瀬川源流域において、本研究で得られた成果に基づいて解析モデルを用いて地表環境と土砂流出の関係について応用研究を行った(戎・丸谷、未投稿)(Kasai, Marutani and Brierley, 2004)。 以上により、土砂災害、森林や高地の生態系撹乱、地質、気候などの個別事象を、流域という空間の中で、土砂流出フラックスとして評価することを目指した。その結果、それぞれの事象どうしの相互作用や連鎖メカニズムをベースにして、流域単位(スケール)での土砂流出フラックスを明らかにすることができる見通しを得た。
|
Research Products
(10 results)