2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13460089
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤本 健四郎 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00005620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 和夫 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 教授 (10182015)
遠藤 泰志 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60194049)
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Keywords | 共役高度不飽和脂肪酸 / 共役トリエン酸 / クシベニヒバ / ポリエン酸イソメラーゼ / ガン細胞毒性 / 酸化安定性 / 脂質代謝 / 血漿脂質低下作用 |
Research Abstract |
紅藻クシベニヒバ(Ptilota pectinata)から抽出したポリエン酸イソメラーゼ活性を有する粗酵素を前年度と同様、各種クロマトグラフィーで精製し、SDS-PAGEで単一バンドを与える標品を得た。本標品を使用してアミノ酸組成をで分析したところ、Gly、Asx、Glxが多いのが特徴だった。また、N末端からのアミノ酸配列は35残基のアミノ酸(2箇所不明を含む)を決定した。本酵素のN末端の配列は同属の近縁種について最近報告されたイソメラーゼとよく一致し、それ以外ではphytoene dehydrogenase、D-amino acid dehydrogenaseなどのdehydrogenase類と相同性が高かった。 代表的な天然共役トリエン酸(α-エレオステアリン酸)を主要構成脂肪酸とするキリ油を飼料に0.5ないし1%添加し、産卵鶏に投与した。共役トリエン酸は産卵率、卵重量、卵黄重量などに影響しなかったが、母鶏の脂肪組織重量が減少し、各組織の脂肪含量も低下した。組織脂質には、共役、トリエン酸は蓄積せず、共役ジエン酸が蓄積した。 前年度において共役脂肪酸の一種である共役トリエン酸が培養癌細胞に対して強い致死作用を示すことを明らかにした。そこで、本年度はこの点について動物を用いて検討した。実験動物にはラットを用い、アゾキシメタンを投与することでACF(大腸前癌病変)を誘発させた。通常食では、ラット大腸にACFが多数観察されたが、共役トリエン酸を食餌に混合することでACF数は濃度依存的に減少し、共役トリエン酸の抗癌活性が確認された。また、共役トリエン酸をラットあるいはマウスに投与すると、肝臓、脂肪組織などに共役トリエン酸の代謝物である共役ジエン酸が蓄積することも明らかになった。培養細胞を用いた検討により、共役トリエン酸は腸上皮細胞において対応する共役ジエン酸に代謝されることが分かり、こうした代謝物が共役トリエン酸の生理作用を深く関わっていることが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Lee, J.S., Endo, Y., Fujimoto, K.et al.: "Effect of dietary tung oil on the growth and lipid metabolism of laying hens."J. Nutr. Sci. Vitaminol. 48(2). 142-148 (2002)
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[Publications] H.Kohno, R.Suzuki, R.Noguchi, M.Hosokawa, K.Miyashita, T.Tanaka: "Dietary conjugated linolenic acid inhibits azoxymethane-induced colonic aberrant crypt foci in rats"Jpn. J. Cancer Res.. 93(1). 33-142 (2002)
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[Publications] 宮下和夫: "共役型リノレン酸(CLN)によるガン予防"オレオサイエンス. 2. 333-338 (2002)
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[Publications] R.Nouguchi, Y.Yasui, M.Hosokawa, K.Fukunaga, K.Miashita: "Bioconversion of CLN to CLA"Lipids. (印刷中).