プラスチックフィルムを用いた作物栽培技術の多様化と土壌水分管理

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13460106
• Research Institution: Kyushu University
• Principal Investigator: 中野 芳輔 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (60038320)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 舟越 保 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (90089938) ; 福田 哲郎 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (30140627) ; 森 健 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (50117272)
• Keywords: 土壌水分 / 日射量 / 土壌面蒸発 / 作物群落構造 / 蒸発量 / マルチ / マイクロ灌漑 / 灌漑スケジューリング

Research Abstract

わが国の畑地農業では高収入を得るために,プラスチックフィルムを用い高品質,促成栽培,抑制栽培などで差別化した作物生産が行われている。生産現場ではトンネルマルチ,保温マルチ,昇温抑制マルチ,水封マルチなどプラスチックフィルム素材の光学的特性,熱伝導特性,強度特性を利用した様々な営農が展開している。被覆材の違いによりエネルギーの透過・遮断・反射等,微気象にも変化が生ずる。また,灌漑方法により作物の蒸散,土壌の蒸発条件も異なり,結果として水消費量も異なってくる。咋年度に引き続きプロトタイプ(実態)モデルによる圃場実験の成果と実際の作物を用いた実験(本年度購入のクリプトンハイグロメータを使用)を基に,作物群落内のエネルギー環境を解析するシミュレーションモデルの精度向上を図った。これにより,種々の作物栽培条件での作物蒸散量および土壌面蒸発量の空間分布の定量化を行うとともに各種作物の空間構造モデル化の類型化とそのモデル化および土壌面に到達する短波・長波エネルギー解析を行った。
また,マルチ資材には透明,黒色,白色,銀色等様々あり,これらの光エネルギーの透過特性,反射特性は土壌の温度の上昇,作物体によるエネルギー吸収量の増加等に影響する。本年度購入したマイクロロガーにより土壌水分,土壌温度環境測定精度の向上を図り,マルチ資材の物理性が蒸発散量におよぼす影響を明らかにした。
上記で得られた成果に加え,作物の好水分特性,根群分布特性等の作物要因も考慮し,トンネルマルチ,全面被覆マルチ,局部被覆マルチ等の多様なプラスチックフィルムの設置方法に適した灌漑スケジューリング手法を実験と解析により検討した。これにより,作物の品質向上,生産性向上,灌漑効率向上のための最適な土壌水分環境のための灌漑スケジューリング手法を明らかにした。

Research Products

• [Publications] 猪熊 英理奈 他: "傾斜地における圃場整備が生産環境因子に及ぼす影響"九州大学農学部学芸雑誌. 58(印刷中). (2004)
• [Publications] Saptomo, S.K. et al.: "Estimation of evapotranspiretion using numerical model and Eddy correlation system"J.Fac.Agr.Kyushu Univ.. 48(3-4)(in press). (2004)
• [Publications] Haraguchi, T. et al.: "Movement Water Collected by Vegetables in Plastic-mulching Field"J.Fac.Agr.Kyushu Univ.. 48(1-2). 237-245 (2003)
• [Publications] Saptomo, S.K. et al.: "The Modification Numerical Evapotranspiration Model By Using Remotely Sensed Surface Temperature Data, Use of remote sensing of crop evaptranspiration for large region"ICID, New Delhi. 1-16 (2003)
• [Publications] Budi I.S.et al.: "Developing Procedures for Optimization of Tank Model's Parameter"The CIGR Journal of Scientific Research and Development. LW01006. 1-13 (2003)
• [Publications] Marui, A. et al.: "The Desalinization Effects by the Cleaning Crop with Nat Absorption Ability"ASAE Annual International Meeting paper. No03237(CD-ROM). (2003)
• [Publications] 原口智和 他: "ビニールマルチング圃場における土壌水分動態と化学肥料成分の地下浸出"応用水文. No.15. 59-68 (2002)
• [Publications] 弓削こずえ 他: "作物立体モデルによる畦間土壌面の日射環境の定量化"農業土木学会論文集. 221号. 25-32 (2002)
• [Publications] 丸居 篤 他: "新規干拓地における畑地利用と灌漑スケジューリング"九州大学農学部学芸雑誌. 57(1). 125-133 (2002)
• [Publications] 丸居 篤 他: "焼き籾穀を用いた新規干拓地の土壌改良-農業廃材の利用-"九州大学農学部学芸雑誌. 57(1). 119-123 (2002)
• [Publications] Nakano, Y. et al.: "Simulation Model Evaluate the Crop Water Consumption of Sprinkler Irrigated Field in the Arid Climate"The Intern. Conference on the Optimum Alloc. of Water Reso. The Ecolo. Envi. Constr. And the Sust. Devel. in Arid Zone. ISBN78107438 3X. 30-41 (2002)
• [Publications] Fukuda, T. et al.: "Water Management and water quality of paddy area Cidanau Watershed at West Java"The 1'st Seminar of Toward Harmonization between Development and Environment Conservation in Biological Production. Vol.1. 195-200 (2002)
• [Publications] 原口智和 他: "TDR法による誘電率測定に及ぼす媒体中の金属異物の影響"農業土木学会論文集. 218号. 167-168 (2002)
• [Publications] 原口智和 他: "TDR法による多孔質体内水溶液の電気伝導測定に関する基礎的研究"九州大学農学部学芸雑誌. 56(2). 219-228 (2002)
• [Publications] 大塚早余子 他: "地中灌漑圃場における蒸発散量と土壌水分動態"九州大学農学部学芸雑誌. 56(2). 187-196 (2002)