2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13460115
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
服部 昭仁 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (50125027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辰巳 隆一 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (40250493)
西邑 隆徳 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (10237729)
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Keywords | 筋原線維タンパク質 / 水溶化 / 超音波処理 / ミオシン |
Research Abstract |
1.鶏胸筋の筋原線維を可溶化する方法を用いて鶏もも肉、豚ロース、牛ロース及び羊ロース肉の筋原線維タンパク質を可溶化することが可能となり、あらゆる種類の骨格筋の筋原線維タンパク質を水に可溶化する方法が確立できた。 2.筋原線維タンパク質の可溶化行程に必須である超音波処理時間が過度になるとミオシン重鎖の分解が生じた。可溶化された筋原線維構成タンパク質はイオン強度およびpHに依存した溶解度を示し、その挙動は生理的条件下で得られた筋原線維とそれに類似しており、生理的塩濃度下では不溶性となった。また、溶解度がpH5-6付近で最低となり、pH5以下あるいは6以上で急激に上昇する典型的な逆ベル型を示した。この性質はいずれの筋肉種においても同様であった。 3.筋原線維タンパク質の大凡半分を占めるミオシンが水溶化の現象に直接的に関与していると考えられる。新鮮な骨格筋から単離・精製したミオシンを筋原線維の可溶化法を適用することによりミオシンの水可溶化が可能となった。最終的に可溶化される条件である1mM NaCl-5mM L-Histidine,pH7.5(中性超低イオン強度)の溶液に透析することにより、可溶化ミオシンの物理化学的特性を調べた。中性超低イオン強度の条件下におけるミオシンは、生理的条件下における太いフィラメントとは異なり、微細なフィラメントによる網目構造を呈していた。この標品に超音波処理を施すと、網目構造が壊れ、崩れた網目構造の一部と微細なフィラメントが分散していた。同時に、上記の構造変化に対応する粘度変化が観察された。これらの結果は、中性超低イオン強度下におけるミオシンの挙動は生理的条件におけるミオシンとは明らかに異なることを示しており、筋原線維タンパク質の水溶化機構を解明する上で重要な手がかりになるものと思料される。
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