2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13470015
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Research Institution | Kyushu Institute Of Technology |
Principal Investigator |
粟生 修司 九州工業大学, 大学院・生命体工学研究科, 教授 (40150908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大村 実 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (50243936)
大嶋 雄治 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (70176874)
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Keywords | 内分泌撹乱物質 / ビスフェノールA / 性分化 / みどりの香り / 情動行動 / 不安 / ストレス / 環境化学因子 |
Research Abstract |
1)耐用1日摂取量以下のビスフェノールA(BPA,0.1ppm)出産前1週間の胎生期曝露の行動の性分化に及ぼす影響を調べた。探索行動の性差は周産期間曝露と同様に消失したが、受動的回避学習は影響を受けなかった。強制水泳試験では、ストレス対処行動の指標であるstruggling時間の性差(雌>雄)が、出産前1週間曝露で消失した。うつ反応の指標であるimmobility時間は、対照群および曝露群ともに性差はなかったが、BPA曝露群で有意に延長した。ニオイ嗜好性試験では、キツネのニオイに対し、BPA曝露群で活動量が減少し、回避行動が増加した。扁桃体内側核領域の嗅覚応答性は、雌に抑制性応答が多く、興奮性応答の割合に性差が認められたが、BPA曝露によりこの性差が消失した。またBPA曝露により興奮性応答の割合が有意に増加した。本研究により、BPAの出産前1週間の胎生期曝露が、探索行動、ストレス対処行動、扁桃体内側核領域の嗅覚応答の性差を消失させることが明らかになった。さらに、BPAがうつおよび不安を増強し、捕食者のニオイに対する警戒応答を増強することを見い出した。 2)みどりの香りのストレス応答に対する作用を調べた。捕食者のニオイに曝露した時には、みどりの香りは高架十字迷路試験において総移動距離、平均移動速度を増加させ、活動性を上げた。心理的ストレスに関しては、ストレスに曝露した翌日の飲水量をみどりの香りが著しく減らしていた。高架プラス迷路試験による不安レベルや活動性には差はなかった。身体的ストレスに関しては、ストレスに曝露した翌日の摂食量および飲水量は減少していた。さらに翌々日の摂食量および飲水量も減少していた。高架プラス迷路試験による不安レベルや活動性には差はなかった。以上のことからみどりの香りは、活動性を上昇すること、摂食、飲水量をストレス強度に依存して抑制することがわかった。
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Research Products
(14 results)
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[Publications] Aou S, et al.: "Orexin-A (Hypocretin-1) impairs Morris water maze performance and CA1-schaffer collateral long-term potentiation in rats"Neurosci. 119. 1221-1228 (2003)
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[Publications] Kawai K, et al.: "Aggressive behavior and serum testosterone concentration during the maturation process of male mice : the effects of fetal exposure to bisphenol A"Environ Health Perspect. 111. 175-178 (2003)
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[Publications] Kubo K, et al.: "Low Dose Effects of Bisphenol A on Sexual Differentiation of the Brain and Behavior in Rats"Neurosci.Res.. 45. 345-356 (2003)
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[Publications] Birt D, et al.: "Intracellularly recorded responses of neurons of the motor cortex of awake cats to presentations of Pavlovian conditioned and unconditioned stimuli"Brain Res.. 969. 205-216 (2003)
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[Publications] 粟生修司, 他: "トリブチルスズとビスフェノールAの脳と行動の性分化への影響"脳の科学. 25. 1141-1147 (2003)
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[Publications] Omura M, et al.: "Distribution of tributyltin, dibutyltin and monobutyltin in the liver, brain, fat and neonate of rats - evaluation in two-generation toxidity study of tributyltin chloride"Environ Sci. (In press).
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[Publications] Oomura Y, et al.: "Physiological significance of 2-buten-4-olide (2-B4O), an endogenous satiety substance increased in the fasted state"Exp Biol Med(Maywood). 228. 1146-1155 (2003)
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[Publications] 粟生 修司: "内分泌攪乱物質と自律神経機能"Clinical Neuroscience. 21・12. 1390-1392 (2003)
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[Publications] 粟生修司: "摂食行動を司る神経回路網"日本臨牀. 61. 17-21 (2003)
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[Publications] 粟生修司: "摂食中枢及び満腹中枢の局在,入出力信号と機能連関"日本臨牀. 61. 22-26 (2003)
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[Publications] 粟生修司: "状況に応じて選択的に作動する摂食抑制経路"日本臨牀. 61. 36-40 (2003)
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[Publications] 粟生 修司 他: "脳機能と栄養"幸書房. 381 (2004)
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[Publications] 粟生修司: "内分泌疾患のとらえかた-眼で見るベットサイドの病態生理"文光堂. 291 (2004)
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[Publications] 粟生修司 他: "アロマサイエンスシリーズ21[7]香りの機能性と効用"フレグランスジャーナル社. 305 (2003)