2003 Fiscal Year Annual Research Report
金属肺における循環系白血球の活性化に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
13470080
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
日下 幸則 福井大学, 医学部, 教授 (70135680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻澤 博文 福井大学, 医学部, 助手 (50345675)
菅沼 成文 福井大学, 医学部, 講師 (50313747)
佐藤 一博 福井大学, 医学部, 助教授 (40262620)
村岡 道夫 福井県衛生環境研究センター, 生活科学部, 総括研究員
森 富男 福井県衛生環境研究センター, 生活科学部, 主任研究員
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Keywords | 金属超微細粒子 / ヒト白血球 / サイトカイン / ニッケル / コバルト / 鉄 |
Research Abstract |
15年度は、鉄、コバルトおよびニッケルの超微細粒子が人の単球等の血球に作用して血管等に炎症性の作用を及ぼす可能性を検証するため、in-vitroの実験を行った。 ヒト全血から単球を多く含む層と好中球を多く含む層とを分離し、それぞれの血球に金属の超微細粒子を濃度0〜80μg/mlで添加し、14時間後に培養上澄を採取して、ELISA法により血球から放出されたサイトカイン(IL-1β、IL-8、IL-10)を測定した。その結果、ニッケルの超微細金属は、単核層においてIL-1β、IL-8およびIL-10のいずれも著しく放出させる。好中球層においてもこれらのサイトカインを放出させる傾向が認められた。コバルトの超微細粒子は、単核球層においてIL-8を放出させるが、その他は放出が認められなかった。鉄の超微細粒子は、単核球層においてIL-10を放出させることが確認された。 以上の結果は、環境大気中に浮遊するニッケル等の超微細粒子が呼気から肺胞を通過して血液中に侵入した場合、炎症に関連したサイトカインの産生が誘導されることを強く示唆するものである。 また、肺腹腔内においても、この白血球は存在していて、特に、先行した炎症(タバコによる気管支炎はその好例)があって、リンパ球、好中球が存在している場合、十分に起こりえる。今後、肺胞腔内のin-vitroでの実験や、各白血球細胞の株を用いてのin-vitro実験を行う予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 大森佐與子, 日下幸則 他: "環境金属汚染による感作物質の特定に関する研究"Biomedical Research of Trace Eliments. 14(4). 279-283 (2003)
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[Publications] 佐藤一博, 日下幸則: "シックハウス症候群に関する医学的知見の整理"職業性・金属アレルギーなど.室内空気質健康影響研会報告書(ぎょうせい出版). 197-207 (2003)
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[Publications] 日下幸則: "「超硬合金と半導体産業に使用される金属の発ガン性分類」評価決定される"労働の科学. 59(4). 34-38 (2004)
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[Publications] 菅沼成文, 日下幸則 他: "「呼吸器学」のうち"じん肺症(石綿肺、珪肺)""メジカルビュー杜. 3-372 (2004)