2002 Fiscal Year Annual Research Report
MTAP遺伝子変異を利用した肺癌に対する選択的癌化学療法の臨床応用―Translational Researchは抗癌剤感受性試験を超えられるか―
Project/Area Number |
13470270
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
高尾 仁二 三重大学, 医学部, 助手 (30263007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
登 勉 三重大学, 医学部, 教授 (60106995)
矢田 公 三重大学, 医学部, 教授 (80093152)
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Keywords | MTAP / MTA / 肺癌 / MTX / プリン新生合成酵素阻害剤 / 抗癌剤感受性試験 / CD-DST法 |
Research Abstract |
【目的】癌細胞におけるMTAP^*(プリン代謝経路におけるsalvage回路のキーエンザイム)欠失に着目した選択的化学療法の可能性を肺癌臨床検体で検討した。 【対象と方法】手術で切除した原発性肺癌78例を対象とした。MTAP欠失は9P21 exon8に対するreal time PCR法と抗MTAPモノクロナール抗体を用いた免疫染色法で判定した。同時に抗癌剤感受性試験をCD-DST法で施行し、MTA(MTAPの基質)添加によるプリン新生合成酵素阻害剤methotrexate(MTX)に対する感受性の変化を検討し、MTAP欠失の有無との関連を調べた。 【結果】real time PCRは73例で評価可能、うち57例ではCD-DST法を同時に施行(46例が判定可能)した。肺癌におけるMTAP欠失の頻度はreal time PCR法で73例中24例(32.9%)、免疫染色で66例中27例(40.9%)で、両法における診断一致率は90.6%であった。MTXに対して発育阻害率(IR)35%以上の感受性を認めた検体19例中14例がMTAP正常であり、IRはMTX単独接触での60.5±15.3%からMTA添加により42.8±26.1%へと有意な低下を認めた(P=0.0106)。一方MTAP欠失と判定された5検体では、IRはMTX単独接触で45.8±8.5%で、MTAを添加しても55.8±15.6%と変化を認めなかった。 【結論】MTAP遺伝子欠失を指標としたプリン新生合成酵素阻害剤による選択的化学療法の可能性が、臨床肺癌検体においても示唆された。 *MTAP : Methylthioadenosine phosphorylase
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