2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13470271
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米田 正始 京都大学, 医学研究科, 教授 (20303810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中畑 龍俊 京都大学, 医学研究科, 教授 (20110744)
藤田 正俊 京都大学, 医療短期大学部, 教授 (50190046)
西村 和修 京都大学, 医学研究科, 助教授 (70252450)
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Keywords | 心不全 / 細胞移植 |
Research Abstract |
心不全に対する細胞移植治療の効果が報告されてはいるが、未だ臨床応用レベルには到達していない。本研究では心機能を改善させるのに要する細胞数を把握する事、また臓器からの細胞単離回収段階、細胞培養〜移植の段階、移植後の宿主内での3つの段階に分けて、より少ないドナー組織(臓器)から十分な細胞生着が得られるために必要条件を探求し、最適な細胞移植方法を確立する事を目的としている。 本年度は虚血性心筋症ラットモデルを用いて心機能改善の程度がドナー細胞数によって依存しているかを検討した。同種同系であるルイスラットにおいて心筋梗塞作成4週間後に心筋梗塞サイズ及び心機能を評価する。次に、下記の4群において心機能の変化を観察した。A群:培養液のみを梗塞部に注入、B群:胎児心筋細胞6×10^5梗塞部に移植、C群:胎児心筋細胞6×10^6梗塞部に移植、D群:胎児心筋細胞6×10^7梗塞部に移植し、心エコーにて心機能の変化および組織学的に移植細胞の検討を行った。 B, C, D群ともにA群と比べ有意に左室収縮力の改善を認めた。しかし、B, C, D群間では有意差を認めなかった。また、組織学上B, C, D群には移植細胞を認めたが、移植細胞は梗塞部中央にはほとんど存在せず、梗塞周縁部に存在した。さらに、B, C, D群でその生着細胞の割合はほとんど差を認めなかった。以上より心筋細胞移植では移植細胞数によらず生着細胞数は一定であり、このことは心筋細胞の虚血に対して非常に弱いことに関与していることが考えられた。そこで、同様の方法で骨格筋筋芽細胞について行ったが、この実験ではより多くの骨格筋筋芽細胞を移植した群で有意に生着率が高く、心機能の改善を認めた。 したがって、細胞移植では細胞種類により生着率が異なり、心筋細胞移植の際には心筋細胞の虚血に対する耐性を補う工夫が重要であると思われた。
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