2001 Fiscal Year Annual Research Report
嚥下障害発生に関する中枢機構・神経支配・味覚の基礎的研究
Project/Area Number |
13470448
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
野田 忠 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (00013970)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 洋 新潟大学, 歯学部・附属病院, 講師 (70179597)
真貝 富夫 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90018424)
山田 好秋 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80115089)
小林 博昭 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80262450)
|
Keywords | 嚥下障害 / 嚥下中枢 / 咀嚼中枢 / 反回神経 / 迷走神経 / 上顎頭神経 / 酸味刺激 / 味覚 |
Research Abstract |
本年度は自由行動および電気的に嚥下誘発が可能なウサギを実験動物として用い、嚥下中枢とそれより上位の中枢、および咀嚼中枢との相互作用を調べた。なお、ラットを用いて嚥下関連筋の神経支配ならび味覚の嚥下反射誘発に果たす役割についても一部検討した。その結果、以下の結論を得た。 1.自由行動下で食物を咀嚼中のウサギの上喉頭神経を電気刺激した結果、単位時間あたりの嚥下の回数が増加した。下顎運動と筋電図をあわせて検討したところ、電気刺激により、食物を食べているときに起こる自然嚥下とほぼ同等の時間的パターンを有する嚥下を誘発できることがわかった。 2.下顎運動と嚥下との相互関係についてそれぞれの回数や時間的関係にっいて検討した結果、両者の関係は単なる抑制関係ではなく、かつほぼ一定の時間的関係を持っていることかわかった。このことから脳幹に存在する咀嚼と嚥下それぞれのリズムジェネレーター間でinteractionがあることが示唆された。 3.嚥下時の咽頭から食道への食物移送には、喉頭挙上と輪状咽頭筋の弛緩による咽頭食道接合部内圧の低下と,その後の輪状咽頭筋の収縮による内圧の上昇が生じる。内圧低下には反回神経が、内圧上昇には迷走神経咽頭枝が大きく関与していることを明らかにした。 4.嚥下障害者に酸味刺激を与えると、嚥下誘発が促進するといわれている。この効果を実験的に検討したところ、酢酸刺激によって嚥下誘発回数が増加し、誘発までの潜時が短縮するという結果を得た。また、この効果は濃度依存性であり、酢酸ナトリウムでは効果が認められないことから、純粋に酸味刺激による嚥下誘発促進効果であることが明らかになった。 次年度以降は、本年度の研究結果をもとにさらに詳細な研究を行う予定である。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Naganuma, Kazuo et al.: "Tongue and jaw muscle activities during chewing and swallowing in freely behaving rabbits"Brain Research. 915. 185-194 (2001)
-
[Publications] Takagi, Masamichi et al.: "Analysis of swallowing movement using a simple and safe device"J. Japan Soc. Stomatognath. Funet.. 8. 25-30 (2001)
-
[Publications] 梶井友佳 他: "ラット上喉頭神経水応答の修飾因子"日本味と匂い学会誌. 8巻3号. 559-562 (2001)
-
[Publications] Kitagawa, Jun-ichi et al.: "Pharyngeal branch of the glossopharyngeal nerve plays a major role in reflex swallowing from the pharynx"American Journal of Physiology. 282(in press). (2002)