2003 Fiscal Year Annual Research Report
看護技術の生体情報に基づく方法的根拠と生体への影響の解明に関する研究
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13470530
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Research Institution | Mie Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
林 文代 三重県立看護大学, 看護学部, 助教授 (10249352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 多美子 三重県立看護大学, 助手 (10326168)
河合 富美子 三重県立看護大学, 助手 (20269723)
草川 好子 三重県立看護大学, 講師 (40269725)
松田 たみ子 自治医科大学, 看護学部, 教授 (60239035)
中村 可奈 三重県立看護大学, 助手 (70310620)
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Keywords | 看護技術 / 清潔ケア / 清拭 / 摩擦方向 / 温度刺戟 / 血圧 / 皮膚血流 / 皮膚温 |
Research Abstract |
清拭技術の生体に及ぼす影響を解析し、生体情報に基づく看護技術の科学的根拠を示す知識を得ることを目的に13年度から引き続き、14年度は身体を拭く方向(摩擦方向)および局所への温度刺戟の効果を40歳代女性に、15年度は年齢変化の検討を追加して20歳代を対象に検討した。 研究の意図を理解し実験への協力の得られた健康成人女子4名(平均年齢42.5歳±4.51)と20歳代の健康な成人14名(平均年齢21.28±0.83)対象とした。室温25℃、湿度60%の人工気象室内で安静臥床後、測定値の安定を確認後実験を開始した。摩擦は乾いたタオルを用い、左上肢前腕から上腕部を末梢から中枢方向(求心性摩擦)、中枢から末梢方向(遠心性摩擦)に20回、往復方向(往復摩擦)は10往復の3パターンとした。摩擦は手技の統一のため同一者とし、その圧力は冨士フイルム製超低圧用プレスケールで平均圧力6.12〜7.14kgf/cm^2であった。温度刺戟条件は35℃、43℃、50℃の3種で恒温層内で加温したホットパックを左上肢前腕内側部に30秒間および1分間の2種の刺激時間とした。生体情報の測定として、血圧測定は、Porterpress (TNO-TPD Biomedical Instrumentation)で右手示指で、皮膚血流量測定は、レーザー血流量計(アドバンス社製ALF21)、左右の中指先にプローブC型を取り付けた。皮膚温測定は、バイオパック基礎医学研究システム(モンテシステム社製)の皮膚温度測定用プローブを左右の手背に取り付けた。データは実験開始5分間、実験中および実験後20分間連続測定した。前値5分間の平均値を100とし、実験中および実験後1分毎の指数値を求め検討した。 清拭による摩擦方向による結果は、血圧および皮膚温への影響は認められないが、拭く刺戟が自律神経に作用し、血圧上昇をもたらしたのでないかと考えられる。皮膚血流量は個人差が大きく、年齢差も見られた。以上から清拭時の摩擦方向による抹消循環の促進を促す方向は限定できないといえる。 温度刺戟では40歳代は血圧が30秒に比し、1分間の刺戟でわずかに上昇した。その温度は35℃では認められず、43℃と50℃で認められた。皮膚温は3条件で変化は見られなかった。20歳代の1分間の温熱刺戟による最高・最低血圧は共にわずかな上昇傾向を示した。その温度は35℃、43℃では認められ50℃では認められなかった。被験者の年齢別の温度条件に対する感覚として、20歳代では35℃「心地よい温度」、43℃「少しぬるい」50℃「熱い」に対し、40歳代では50℃を「心地よい温度」、43℃「少しぬるい」35℃「少し冷たい」としている。このような温度感覚の差が血圧変動に影響したと考える。これらの成果は第28回・29回看護研究学会学術集会と第22回・23回日本看護科学学会学術集会において発表した。
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