2003 Fiscal Year Annual Research Report
縦断的観察による生徒の身体不調の変化要因に関する検討
Project/Area Number |
13480060
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
古田 真司 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (90211531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 和子 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (50024021)
堀田 法子 名古屋市立大学, 看護学部, 助教授 (90249342)
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Keywords | 縦断的観察 / ストレス / 身体不調 / 生徒 / 重心動揺検査 / 加速度脈波 / LF / HF値 / 保健室 |
Research Abstract |
小学生のストレスや身体不調を継続的かつ客観的に観察するために、平衡機能検査で用いられることが多い「重心動揺計」による継続的観察を試みた。対象は、愛知県内の小学6年生児童54名である。観察は、月に1回ずつ計3回の測定により行った。授業終了後を利用してアニマ社製重心動揺計(グラビコーダGS3000)を用いた重心動揺検査と、小学生用ストレス反応尺度等の調査用紙による自記式アンケート調査を行った。重心動揺データは個人差が大きく、他人と定量的に比較しても一定の傾向は認めない。しかし、継続的観察を通じて個々のデータの変化を追うことで、ストレスや身体不調に特有な動揺データの変化見られないかどうか検討した。2ヶ月間の観察でストレス反応得点の増減により、それぞれの重心動揺パラメータをストレス低時期データ、ストレス中時期データ、ストレス高時期データに整理して再集計した結果、重心動揺の「総軌跡長」はストレス反応の高い時期に有意に減少し、動揺速度に相当する「単位時間軌跡長」もストレス反応の高い時期に有意に減少した。この結果は、重心動揺検査が、小学生のストレスを測定する客観的指標になりうる可能性を示唆した。 不定愁訴による子どもの保健室利用を想定して、女子学生20名を被検者とした実験調査を行った。被検者は、週2回の頻度でおよそ1ヶ月間、任意の時間(昼間)に、保健室に見立てた部屋に来室し、その際、不定愁訴に関する問診と、体温、血圧測定、フリッカー値測定、加速度脈波の測定、気分プロフィール検査(POMS)等についての検査を行なった。加速度脈波測定は、加速度脈波測定システムアルテット(株式会社ユメディカ製)を使用して2分間行い、同梱の自律神経機能評価用ソフトにより、加速度脈波のa-a間隔(心電図RR間隔に相当)が自動的に算出され、最大エントロピー法(MEM)による心拍変動の周波数解析が可能となった。周波数解析により得られた低周波成分LF(0.04〜0.15Hz)と高周波成分HF(0.15〜0.40Hz)から得られるLF/HF値を、交感神経機能の指標として分析の対象とした。その結果、バイタルサインやフリッカー値と体調の善し悪し(問診およびPOMSの結果から判断)には関連は認めないが、多数の被検者において、体調が悪いほどLF/HF値が高くなるという結果を得た。この結果から、学校での身体不調の客観的指標として、加速度脈波測定が有用である可能性を示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 堀田法子, 古田真司 他: "中学生・高校生の自律神経性愁訴と生活習慣の関連について"学校保健研究. 43巻1号. 73-82 (2001)
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[Publications] 奥村陽子, 古田真司 他: "継続的観察を生かした肥満指導についての一考察"東海学校保健. 25巻1号. 33-41 (2001)
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[Publications] 藤井千惠, 古田真司 他: "小中学生とその両親の血清脂質検査等の相関に関する研究"東海学校保健研究. 26巻1号. 11-18 (2002)
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[Publications] 古田真司: "小中学生の蓄積疲労と日常生活習慣の関連についての検討"愛知教育大学研究報告(教育科学編). 52輯. 67-73 (2003)
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[Publications] 古田真司: "縦断的観察と学校保健"東海学校保健研究. 27巻1号. 11-22 (2003)
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[Publications] 古田真司: "小学生のストレスの変化が重心動揺に及ぼす影響 -個人ごとの縦断的観察による検討-"愛知教育大学研究報告(教育科学編). 53輯(印刷中). (2004)