2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13480151
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
太田 寛行 茨城大学, 農学部, 教授 (80168947)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久留主 泰朗 茨城大学, 農学部, 教授 (60272118)
白井 誠 茨城大学, 農学部, 教授 (10007792)
久保田 正亜 茨城大学, 農学部, 教授 (40007688)
長谷川 守文 茨城大学, 農学部, 助手 (80311588)
|
Keywords | ノニルフェノール / 環境ホルモン / スフィンゴモナス属細菌 / オクチルフェノール / 分解菌の環境動態 |
Research Abstract |
本年度は、まず、これまでの研究で用いてきたノニルフェノール分解性スフィンゴモナス属細菌YT株が新種であることを明らかにし、Sphingomonas amiensisと命名して細菌分類学の国際学会誌に論文投稿を行った。また、このS. smiensis YT株と藤井らによって報告されたノニルフェノール分解性Sphingomonas cloacae JCM10874株を用いて、1)ノニルフェノール分解代謝遺伝子と、2)分解代謝経路の解析を行った。さらに、3)土壌中におけるノニルフェノール系農薬の動態と分解微生物遺伝子を明らかにするたに、環流土壌モデル系についてPCR-変性勾配電気泳動(DGGE)法で遺伝子を解析した。以下に結果の概略を述べる。 1)S. smiensis YT株とS. cloacae JCM10874株について巨大プラスミドの存在を見出した。そのプラスミドのサイズは、S. smiensis YT株では203kb、S. cloacae JCM10874株では254kbであった。これらのプラスミドは、ノニルフェノール分解能や多環芳香族化合物分解能を有さないスフィンゴモナス属菌株(当研究室が有するものについて)ではみつかっていない。現在、ノニルフェノール分解とプラスミドのより詳細な関係を解析している。また、S. smiensis YT株とS. cloacae JCM10874株のゲノムサイズが、それぞれ3.5Mbp、4.0Mbpであることを明らかにした。 2)分枝型ノニルフェノールには様々な異性体が存在する。S. smiensis YT株は直鎖型に近い異性体をよく分解する選択性がみられたが、S. cloacae JCM10874株では、各異性体をほぼ同様な速度で分解した。S. smiensis YT株はノニルフェノールよりも環境ホルモン活性が強いオクチルフェノールも分解し、その中間代謝産物として、4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)ベンゼン-1,2-ジオールまたはヒドロキノンを生じることを明らかにした。 3)ノニルフェノール系農薬(商品名、「ヨネポン」)溶液で土壌カラムを環流し、集積する微生物遺伝子をPCR-DGGE法で解析した。このノニルフェノール系農薬は、5日間の培養で約80%が消失し、土壌中の16Sリボソーム遺伝子解析では、特定の遺伝子群が集積することが判明した。現在、この遺伝子を解析している。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 太田寛行, 高原義治, 生長陽子, 牛場裕司, 宮川修一, 長谷川守文, 笠原康裕, 久留主泰朗, 小野勝道, 久保田俊夫: "ノニルフェノール類化合物質による環境汚染と分解微生物:土壌における実態の解明に向けて"日本微生物生態学会誌. 17巻・2号. 29-37 (2002)
-
[Publications] 韓 宇波, 高原義治, 生長陽子, 太田寛行: "細菌混合培養系におけるノニルフェノール分解特性の解析"第18回日本微生物生態学会講演要旨集. 163 (2002)
-
[Publications] 韓 宇波, 牛場裕司, 高原義治, 笠原康裕, 太田寛行: "ノイルフェノール(NP)分解性Sphingomonas sp. YTと共存するNP非分解性細菌の分類学的研究"第18回日本微生物生態学会講演要旨集. 177 (2002)
-
[Publications] 生長陽子, 高原義治, 久留主泰朗, 長谷川守文, 白井 誠, 太田寛行: "高濃度及び低濃度ノニフェノール分解性Sphingomonas属細菌における分解特性の解析"第18回日本微生物生態学会講演要旨集. 80 (2002)
-
[Publications] 宮川修一, 生長陽子, 長谷川守文, 太田寛行, 児玉 治: "Sphingomonas amiensisにおけるアルキルフェノール分解に関する研究"日本農薬学会第28回大会講演要旨集. (印刷中). (2003)