2003 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞樹状突起の可塑的変化におけるサイトカイン・神経栄養因子の役割
Project/Area Number |
13480253
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
仙波 恵美子 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (00135691)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井辺 弘樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (60326353)
森川 吉博 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (60230108)
|
Keywords | DRG / FK506 / 細胞内カルシウム / ストレス / 海馬 / BDNF / セロトニン / TROY |
Research Abstract |
(1)後根神経節(DRG)ニューロンに対するFK506の作用 FK506はDRGニューロンの突起を伸展させるが、そのメカニズムは不明である。Lewisラットの培養DRGニューロンにOregonGreenを取り込ませてFK506(1.2μM)を作用させると、小型細胞の一部(3.1%)で細胞内Ca^<++>が増加した。CFA関節炎ラットのDRGではより多くのニューロンが反応し(8.1%)、Ca^<++>濃度の上昇がより持続して認められた。坐骨神経-皮膚標本における単一C-線維記録でも、FK-506の添加により放電頻度の増加が観察され、FK-506はDRGニューロンに対し興奮性の作用を有することがわかった。 (2)慢性ストレス負荷モデルの海馬でのBDNF産生を制御する因子 3週間の反復拘束ストレスにより海馬錐体細胞の樹状突起が退縮するが、その時の海馬でのBDNFの産生変化については一定の見解がない。慢性ストレス負荷時にも海馬でのBDNF mRNA発現が低下することを明らかにし、同時に血中のglucocorticoid(GC)、海馬や視床下部室傍核(PVN)でのGC受容体(GR)と脳幹での5-HT産生について経時的に検討した。2〜3週間の反復負荷では急性負荷に比べて血中のGCのピークが遅れて現れ、またPVNでのGRの増加が見られず、HPA axisに対するnegative feedback機構の減弱が示唆された。また5-HT産生の律速酵素であるトリプトファン水酸化酵素(TPH)は、反復負荷により中位縫線核(MRN)で著明に増加した。MRNニューロンは海馬に投射し、5-HT2ARを介してBDNF産生を抑制する。慢性ストレス時には、これらの要因が樹状突起を退縮にさせると思われる。 (3)脳の発達・形成におけるTROYの役割 TNFR superfamilyの新規のメンバーであるTROYは、胎生期から成獣に至るまで神経上皮や海馬に強く発現し、神経幹細胞からのニューロンの分化と機能維持・軸索の伸展などに重要な役割を果たすと考えられる。胎生および生後の脳におけるTROYの発現様式について報告し、さらに嗅球の形成におけるTROYの役割について検討した。
|
-
[Publications] Imbe H., Okamoto K.et al.: "Galectin-1 is involved in the potentiation of neuropathic pain in the dorsal horn."Brain Research. 993. 72-83 (2003)
-
[Publications] Hisaoka, T., Morikawa, Y.et al.: "Expression of a member of tumor necrosis factor receptor superfamily, TROY, in the developing mouse brain."Developmental Brain Research. 143. 105-109 (2003)