2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13554007
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 光廣 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90183889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 勝一 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50304390)
青木 茂樹 神戸大学, 発達科学部, 助教授 (80211689)
星野 香 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70022738)
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Keywords | 原子核乾板 / 写真乳剤 / ハロゲン化銀 / 素粒子実験 / 原子核実験 / 高感度化 / 放射線測定 / ニュートリノ |
Research Abstract |
これまで50年近く新しい開発が行われてこなかった原子核乾板に対して、富士写真フィルムの協力の下に最近のカラーフィルムなどで用いられているハロゲン化銀微結晶生成の最新手法(結晶サイズを制御するダブルジェット法やAgBrとAgIの二重構造粒子化など)や化学薬品を導入し、これに現像手法の改良などを加味して、世界最高感度の原子核乾板を作りあげた。 到達した感度は最少電離粒子に対して記録されるグレインの密度が65グレイン/100ミクロン(標準乾板FujiET7B換算)であり、これまで使われてきた乾板(FujiET7B)の約1.85倍、この研究の準備段階として試行錯誤を行ったDONUT実験で使用した乾板(FujiET7C)の約1.4倍の感度にすることができている。 試作段階で0.05ミクロンの微結晶も試作した。この微結晶乳剤は残念ながら最少電離粒子に対して感度が十分ではなかったため実用化ならなかったが、電子顕微鏡をもちいた現像銀の詳細な観察を通して、その位置分解能の限界がどこにあるかが見えてきた。電子顕微鏡で観察した現像銀は、オリジナルの結晶サイズ0.05ミクロン(50mm)より大きく、直径25nm程度のフィラメント状の銀からなっており、現在の現像ではこのフィラメントのために位置分解能が制限されてしまうことがわかった。今回の目的とは直接関係しないが、感度を保ちながらこのフィラメントの成長を抑える現像方法の模索が、更なる高位置分解能化には必要であろう。
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