2003 Fiscal Year Annual Research Report
繰り返しパルス磁場を用いた超高精度テラヘルツESRシステムの開発
Project/Area Number |
13554011
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
野尻 浩之 岡山大学, 理学部, 教授 (80189399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 康弘 岡山大学, 理学部, 助教授 (10292757)
味野 道信 岡山大学, 理学部, 助教授 (30222326)
山嵜 比登志 岡山大学, 理学部, 教授 (40013495)
左近 拓男 秋田大学, 工学資源学部, 助教授 (80271964)
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Keywords | 超強磁場 / 極限環境 / ESR / テラヘルツ波 / パルス磁場 |
Research Abstract |
本研究では、繰り返しパルス磁場を用いた超高精度テラヘルツESRシステムの開発を行った。本年度は昨年度に引き続き、周波数の向上のための改良及び高感度化を行った。さらにこのシステムを用いて、複数の磁気クラスターを含むMn_<11>Crに関して高周波のESR測定を行い、高次の異方性に関して精密に決定することに成功した。精密測定が可能になったことにより、このクラスターが異方性定数が全く同一で、スピン数だけが異なるふたつのクラスターがほぼ1:1で含まれていることを同定した。このようなツインの磁気クラスターは、パリティ効果研究に極めて有用と考えられるが、その同定に超高精度テラヘルツESRシステムが大きく寄与した。さらに、このようなクラスターが合成される原因として結晶によるクラスター構造に対する環境効果(石膏型効果)を提案し、注目された。 第二の研究例として、異方性がないのに磁気ヒステリシスを示す三角リングクラスターのスピンハミルトニアンの精密解析を行った。リングクラスターで見られる、異なるスピン状態間遷移を支配する混成が、どのような相互作用によってもたらされるかは、ナノ磁性体研究において重要である。微量結晶しか得られないこれらの系に対して、精密な角度変化測定を多周波で行うことにより、異方的交換相互作用の大きさと対称性を決定すると共に、DM相互作用が面内成分のみから成ることを決定した。このような精密なスピンハミルトニアン決定は、高精度ESRによってのみ可能であり、本研究で開発した装置の有用性を示した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Hachisuka, K.Awaga, T.Yokoyama, T.Kubo, T.Goto, H.Nojiri: "Structure and magnetic properties of single-molecule magnet Mn_<11>Cr : Magnetization manipulation and internal field in the mixed crystals of Mn_<11>Cr and Mn_<12>"Physical Review B. (in print). (2004)
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[Publications] H.Nojiri, T.Taniguchi, Y.Ajiro, A.M.Muller, B.Barbara: "Quantum dynamics of molecular magnets in ultra-fast sweeping magnetic Fields"Physica B. (in print). (2004)