2003 Fiscal Year Annual Research Report
文化財建造物探査用の超音波音速CT装置の研究・開発
Project/Area Number |
13558009
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
足立 和成 山形大学, 地域共同研究センター, 助教授 (00212514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 裕二 拓殖大学, 工学部, 教授 (30201239)
渡辺 一実 山形大学, 工学部, 教授 (90091769)
田村 安孝 山形大学, 工学部, 教授 (40171904)
西村 康 ユネスコ, アジア文化センター・文化遺産保護協力事務所, 研究員 (80000488)
橋本 芳樹 株式会社カイジョー, 産機システム事業部, グループマネージャー(課長)
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Keywords | ボルト締めランジュバン型振動子 / 振動子の広帯域化 / 超音波音速CTシステムの試作 / 能登時国邸の超音波探査 |
Research Abstract |
平成15年度の研究計画の内容にそって、本年度の研究成果を説明する。 (1)実用的なシステムの試作 昨年までの小型強力音源用の振動子の開発研究の成果及び、後で述べる現場での実験の教訓を生かして、多数のプローブを有する実用的な超音波音速CTシステムの原型の試作を行なった。このシステムでは、18本のプローブを電気的に切り替えることで、多数の経路上での音波伝搬時間を短い時間に収集することが出来る。従来の一対のプローブの位置を手で移動させていく方式に比べて、現場で必要な作業時間が格段に短くなることが期待できる。ただ、現場でこれを使用しての実証実験は行なえなかった。 (2)振動子の広帯域化 小型で堅牢な性質を併せ持つ共振周波数60kHzのボルト締めランジュバン型振動子(BLT)を基本として、より広帯域な特性をもつ振動子の構成について検討した。その結果、外付け抵抗を用いた構成にした場合に共振の先鋭度Qが20程度まで低くなることが分かった。また、振動子放射面の振動速度波形の測定により、パルス波の持続時間を短くする効果があることが確認できた。 (3)現場での実験 平成15年7月に、財団法人文化財建造物保存技術協会の協力を得て、石川県輪島市の重要文化財時国邸の床下柱の3本の探査を行なった。断層像用のデータは、そのうちの2本の柱について取得できた。残り1本の柱では土台面からの腐朽の進展している高さのみを、断面差渡しの経路における音波伝搬情況から調べ、腐朽部の特定ができた。いずれの柱も外見上はこけなどが表面に繁茂し、腐朽の程度が酷いと予想されたが、実際にはさほどのこともなく、地元で「アテ」と呼ばれる木がその風土の中では長持ちするとの現地の宮大工の経験則が実証された形になった。
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Research Products
(1 results)