2001 Fiscal Year Annual Research Report
ペルーにおける国民文化形成の民族学的研究-国民意誠の形成と政治行動
Project/Area Number |
13571024
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
藤井 龍彦 国立民族学博物館, 先端民族学研究部, 教授 (80045260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊井 茂行 明治学院大学, 国際学部, 教授 (40205159)
友枝 啓泰 広島市立大学, 国際学部, 教授 (40008636)
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Keywords | ペルー / 国民文化 / 政治行動 / 地方出版物 / 都市移住 / 都市と農村 |
Research Abstract |
1)ペルーの地域雑誌と地域モノグラフの実態解明のため、リマ市の国立図書館において所蔵雑誌と既刊の地域文献目録を調査した。同時に、クスコ、アヤクチョ、ピウラの地方都市の図書館でも調査をおこなった。その結果、現段階でえられた資料から、つぎのことが推測できる。時期的には、ペルーの地域雑誌と地域モノグラフは、19世紀末から1910年代、1940年代、1960年代から1970年代に、比較的多数刊行された傾向があること。ペルー国内で過去に刊行された地域雑誌の総数は、3000種をうわまわり、地方の小都市にいたるまで刊行されていること。それらの刊行母体は自治体、民間団体、学校、組合など多様でこと、などである。 2)都市の地方出身者:農村からの都市移住は20世紀の初頭からすでに認められているが、1968年のベラスコ将軍による軍事革命以後、その勢いは増大した。70年代以降の都市移住にともなって注目されることは、首都リマ市において、アンデス高地農村地方の音楽・舞踊が導入されたことで、しかもそれが都市の一般市民にも「ペルー的なもの」として受け入れられゆくという顕著な傾向がみられることである。 3)高地農民の政治参加の状況:南部高地農村において、1960年代以降の主として国政選挙にかかわる農民の政治的参加意識と行動の在り方の変化を調査した。その結果、1980年の軍事政権から民主政治への以降以後、農民の政治にかかわる意思決定、政治参加に関して、ラジオ・テレビなどのメディアの影響が増大したこと、特に日系のフジモリ大統領が選出された1990年の選挙においては、かなり決定的な役割を果たしたことが明らかになった。
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