2001 Fiscal Year Annual Research Report
トルコ及びバルカン諸地域における職人社会の変容に関する比較研究
Project/Area Number |
13571030
|
Research Institution | The Middle Eastern Culture Center in Japan |
Principal Investigator |
高橋 忠久 財団法人中近東文化センター, 学術局, 研究員 (20260143)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 衛 金沢美術工芸大学, 美術工芸研究所, 教授 (80180256)
沖本 弘 竹中道具館, 主席研究員
真道 洋子 財団法人中近東文化センター, 学術局, 研究員 (50260146)
|
Keywords | 職人 / 伝統工芸 / 街区 / オスマン朝 / トルコ / バルカン諸地域 / 大工道具 / 金属工芸 |
Research Abstract |
本年度は、ロンドンでの文献調査とギリシャでの現地調査を行った。ギリシャでの現地調査は新情報により訪問地を一部変更した。ギリシャの二大都市であるアテネ、テッサロニキ、及び古代から近代に至る重要な陸上交易路上にあった宿場町、トゥリカラと海上交易の町として発展したエーゲ海沿岸の港町、カヴァラで調査を行った。/アテネでは、民俗工芸博物館、ベナキ博物館、国立歴史民族博物館、他で多種多様の伝統的な工芸品、道具・工具などを観察する機会をえた。ベナキ博物館では関連資料を直接調査するという貴重な機会を得た。平行して、アテネ市内に残る旧街区の調査を行った。旧街区は手が加えられてはいるが、修復され比較的よく残されている。オスマン朝期の公共建築も同様である。伝統的な構造の店舗を維持しているところも多少残っている。旧街区の多くは観光物産店で占められ、日用品を売る店がそれに続く。そこで伝統的な手仕事に携わる職人も確認できた。街区の一角には家具屋街があり、店の地下室で家具の修理を行う工房も確認。近年、土産物の金銀細工を製作する職人がアテネに増加しているという。その工房は大小様々で、自宅を工房としている職人も多いと聞く。アテネではこうした手仕事をサポートする協会と接触でき、積極的な活動を通して伝統的工芸を現代に生かそうとしていることも確認できた。同市内では、伝統的な手法で階段を製作する大工工房を調査できたことは非常に有益であった。トゥリカラ郊外のメテオラの修道院では、19世紀の特徴的な、実際にそこで使用されていた多数の大工道具を観察できた。カヴァラの調査では1960年代頃より機械化されはじめたという舟大工の作業所を調査できた。テッサロニキではテッサロニキ大学のスクテーリ教授と民具、道具、職人、伝承、近代化など多岐にわたり意見交換ができた。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 高橋忠久: "金属工芸"岩波イスラム辞典. 322-323 (2002)
-
[Publications] 高橋忠久: "オスマン帝国期のアナトリア・ルートと旅行者の記録"『シルクロードの宝物:草原の道展』カタログ. 20-21 (2001)
-
[Publications] 沖本弘: "中国の曲尺と日本のマガソカネ"竹中道具館研究紀要. 13. 67-90 (2001)
-
[Publications] 真道洋子: "ラスター彩ガラスの登場"人間国宝・加藤卓男シルクロード歴程ラスター彩、三彩、織部の源流を求めて. 34-36 (2002)