2002 Fiscal Year Annual Research Report
フードシステムにおける農産物流通の進化論的比較制度分析
Project/Area Number |
13572032
|
Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
金山 紀久 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (00214445)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仙北谷 康 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (50243382)
耕野 拓一 帯広畜産大学, 畜産学部, 講師 (20281876)
伊藤 繁 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (00003145)
坂爪 浩史 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (80258665)
小澤 亙 山形大学, 農学部, 助教授 (70211141)
|
Keywords | トレーサビリティ / ECR / 自己組織化 / 経路依存性 / 卸売市場流通 / 土地の所有 / 社会主義体制 / 大規模農場 |
Research Abstract |
本年度は、農産物流通の研究における進化的比較制度研究の視点から日本における食料品小売業および外食産業の生鮮食品調達のシステムとイギリスの小売イノベーションとを比較検討を行うシンポジウムを開催した。グローバル化が世界的に進行しているが、そのグローバル化への対応は国によって異なる。今日、生鮮性という商品特性や物流が広域(グローバルな)流通の制約条件ではなくなり、また、有機農産物など品質や環境への対応、トレーサビリティの確立などの安全性の確保、ECRによる消費者ニーズへの適切な対応などを組み合わせた差別化戦略等、小売業に求められる戦略はほとんど同一でるものの、日本とイギリスでは、小売業の規模、卸売市場流通への依存度、輸入への依存度などの流通構造に、大きな違いがみられる。その要因として、生産構造の違いがあげられるが、小売規模拡大の進行の程度の違い、つまりポジティブフィードバックを伴う自己組織化の違いに注目する必要があることが確認された。 また、本年度の海外調査はポーランド(共和国)、チェコ(共和国)、オーストラリアにおいて行った。ポーランドとチェコは1989年の革命によって社会主義体制から資本主義体制へ移行した。移行して約10年が経過したいが、それぞれの国の農産物流通には大きな違いがみられる。ポーランドは社会主義体制の時から農家は土地の所有を認められていたのに対してチェコは集団農場体制が支配的であった。この違いが資本主義へ移行した後に影響を与え、ポーランドは卸売市場流通のみられる青果物流通が形成されたが、チェコは卸売市場がほとんど形成されず、大規模卸売業者の形成や大規模農場による大型量販店の直接流通の形成など、異なった農産物流通の構造が形成され、経路依存性が確認された。オーストラリアについては、農産物流通におけるトレーサビリティとHACCPへの対応について調査を行った。
|