海外在留邦人の精神保健調査と危機介入支援マニュアルの作成

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13572033
• Research Institution: Iwate Medical University
• Principal Investigator: 鈴木 満 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (10196876)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 齋藤 高雅 大分看護科学大学, 看護学部, 教授 (90082065) ; 野田 文隆 大正大学, 人間科学学部, 教授 (30317648) ; 新福 尚隆 神戸大学, 医学部, 教授 (00263369) ; 倉林 るみい 産業医学総合研究所, 主任研究員 ; 宮地 尚子 一橋大学, 社会学部, 助教授 (60261054) ; 山本 和儀 琉球大学, 医学部, 講師 (80210524)
• Keywords: 海外在留法人 / 精神保健 / 危機介入 / 精神科救急 / 多文化間精神医学

Research Abstract

平成13年度は、前年度に行った調査結果の解析を進め報告活動を行う一方、バンクーバー、パリ、ロンドン、ニューヨークでの海外調査を施行し、危機介入の対象となった邦人事例に関する情報を収集した。鈴木、倉林、齋藤は、平成12年12月にホーチミン、デュッセルドルフにおいて施行したアンケート調査の統計学的解析を行い、ホーチミン在留男性勤労邦人における精神健康度がデュッセルドルフのそれと比べて有意に低く、、地域特異的なストレス要因が精神健康度に関与することを示唆する結果を得た。山本はジャカルタ在留邦人を対象とした調査より、精神健康度に関連する因子として生活安全度に代表される環境因の重要性を見出した。新福は世界各国の精神保健システムに関する知見を「世界の精神保健医療」として出版し、鈴木は世界9都市における邦人支援資源および精神保健資源関する調査結果を「文化とこころ」第5巻の特集としてまとめた。野田はバンクーバーを定期的に訪問し、現地協力医師とともにバンクーバー総合病院邦人外来での診療活動を支援する一方、邦人精神科救急事例への介入の実際について情報収集を行った。倉林は、在パリ日本大使館および現地邦人医師を訪ね、邦人精神科救急事例に関する聞き取り調査を行なった。鈴木は、ロンドンを訪問し現地調査協力者とともに在英邦人医療関係者、日本大使館、日系教育機関などから聞き取り調査を行い、邦人救急事例について情報収集を行うとともに英国での精神科入院制度について調べ報告した。宮地はニューヨーク多発テロ事件後に現地に飛び、邦人コミュニティにおける精神保健支援ネットワーク構築と危機介入の状況について調べた。平成14年度は、上記調査研究を発展させ海外在留邦人の危機介入事例集をまとめる予定である

Research Products

• [Publications] 鈴木 満: "精神科救急事業における多言語・多文化医療サービスの現状と課題・第1報"精神科救急. 4. 74-82 (2001)
• [Publications] 鈴木 満: "海外邦人に対する精神保健対策の歴史と現状"文化とこころ. 5. 53-55 (2001)
• [Publications] 鈴木 満: "シンガポール在留邦人コミュニティにおける精神保健資源の需要と供給"文化とこころ. 5. 104-107 (2001)
• [Publications] 吉川和男: "英国における精神科救急の動向-強制入院と患者の移送に関する法的問題を中心に-"精神科救急. 5(印刷中). (2002)
• [Publications] 氏家憲一: "ホーチミン在留邦人コミュニティにおける精神保健資源の需要と供給"文化とこころ. 5. 108-110 (2001)
• [Publications] 氏家憲一: "海外在留邦人の精神保健-ホーチミン・デュッセルドルフにおける男性勤労者の精神健康度と環境因"こころと文化. 1・2(印刷中). (2002)
• [Publications] 野田文隆: "海外在留邦人に対するメンタルベルスサービスのあり方-4つのモデル-"文化とこころ. 5. 84-87 (2001)
• [Publications] 野田文隆: "バンクーバー在留邦人コミュニティにおける精神保健サービスの需要と供給"文化とこころ. 5. 133-136 (2001)
• [Publications] 野田文隆: "海外メンタルヘルス事情(4) 国際結婚よろず引き受けます"海外医療. 28. 35-36 (2001)
• [Publications] 山本和儀: "海外の邦人相互支援とコミュニティとしての異文化適応"文化とこころ. 5. 78-83 (2001)
• [Publications] 山本和儀: "ジャカルタ在留邦人コミュニティにおける精神保健サービスの需要と供給"文化とこころ. 5. 111-114 (2001)
• [Publications] 宮地尚子: "ボストン在留邦人コミュニティにおける精神保健サービスの需要と供給"文化とこころ. 5. 126-128 (2001)
• [Publications] 宮地尚子: "ニューヨーク在留邦人コミュニティにおける精神保健サービスの需要と供給"文化とこころ. 5. 129-132 (2001)
• [Publications] 倉林るみい: "海外勤務者のメンタルヘルス:位置づけと課題,特集変貌する職場におけるメンタルヘルス"現代のエスプリ. 402. 117-122 (2001)
• [Publications] 倉林るみい: "パリ在留邦人コミュニティにおける精神保健資源の需要と供給"文化とこころ. 5. 123-125 (2001)
• [Publications] 倉林るみい: "デュッセルドルフ在留邦人コミュニティにおける精神保健資源の需要と供給"文化とこころ. 5. 120-122 (2001)
• [Publications] 大西 守: "フランス内外における森田療法の啓発普及活動"日本森田療法学会雑誌. 12・2. 161-164 (2001)
• [Publications] 大西 守: "多文化間精神医学"最新精神医学. 6・4. 371-375 (2001)
• [Publications] 高田浩一: "メルボルン在留邦人コミュニティにおける精神保健資源の需要と供給"文化とこころ. 5. 115-119 (2001)
• [Publications] 本間true玲子: "多文化都市サンフラシシスコにおける社会心理支援システムの構築"文化とこころ. 5. 14-17 (2001)
• [Publications] 新福尚隆: "世界の精神保健医療-現状理解と今後の展望-"へるす出版. 179 (2001)