2001 Fiscal Year Annual Research Report
マレイシアにおけるマメジカ類の生理生態学的調査と増殖保存に関する研究
Project/Area Number |
13575027
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
福田 勝洋 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (10012022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 良博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90092303)
並河 鷹夫 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (70111838)
山田 純三 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (10003104)
遠藤 秀紀 国立科学博物館, 動物研究部, 研究官 (30249908)
木村 順平 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (30177919)
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Keywords | マメジカ / ジャワマメジカ / オオマメジカ / 反芻動物 / 熱帯産動物 / 希少動物 / 動物種保存 |
Research Abstract |
マメジカは現存する最小の偶蹄類で2属4種が生息する。偶蹄類の進化の早い時期に分岐し、その後大きな変化なく現在に至った反芻動物で、偶蹄類の原始的な姿を留めるため、反芻家畜の進化の上から興味深く、また小型であることから大型家畜に代わる実験動物としての可能性も検討に値する。マメジカは熱帯地方にのみ残存する希少種で、熱帯雨林の開発とともに生息域が減少しつつあり、保護、増殖の手をさしのべねばならい状況にある。しかしながら、マメジカについては生理生態が余り知られておらず、今後の保護、増殖のために生理生態を究明する基礎的な研究を行った。 本研究はジャワマメジカとオオマメジカが生息するマレーシアにおいて、野生状態の行動を観察するとともに、飼育下のマメジカについて繁殖、保育状況を記録し、生理形態学的特性を明らかにし、保護、増殖に寄与しようとするものである。本年度において2度のマレーシア調査を行った。マレーシア半島産のジャワマメジカ、ボルネオ島サバ州のオオマメジカについて、血液学的調査から、マメジカ類極めて小型の赤血球をもち、血球表面から内部にひろがる小孔を持つことをオオマメジカで確認し、マメジカ属の共通の特徴であることを明らかにした。また、細胞遺伝学的な研究から、染色体数がジャワマメジカ、オオマメジカともに2n=32であることが確認された。さらにマメジカに特有な腺、下顎間腺が表層の脂腺と深層のアポクリン腺からなる臭腺の一種であり、雄で発達する器官であることを明らかに、入手した妊娠子宮の解析から、他の偶蹄類とことなる興味ある所見が得られ現在検討中である。地域的な差、野生と人工飼育下での生態の変化などマメジカの保護と増殖に関わる知見が集積されつつあり、来年度の調査研究を通して、生理生態の一層の解明につとめる予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Endo, H., Kimura, J., Sasaki, M., Matuzaki, M, Matsubayashi, H. et al.: "Functional morphology of the mastication muscles in the lesser and greater mouse deer"J. Veterinary Medical Sciences. 64(In press). (2002)