2003 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害児における聴覚的ならびに音韻的短期記憶の評価に関する基礎的研究
Project/Area Number |
13610122
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
惠羅 修吉 上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (70251866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大庭 重治 上越教育大学, 学校教育学部, 教授 (10194276)
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Keywords | 音韻的短期記憶 / 事象関連電位 / P3(00) / オドボール・パラダイム / 発達障害児 |
Research Abstract |
本研究は,(1)聴覚的,音韻的短期記憶に関する評価方法の精緻化;(2)発達障害児を対象とした評価の実施;(3)聴覚的,音韻的短期記憶に困難を有する発達障害児の事例的検討,の3つ下位プロジェクトにより構成されている。本年度は最終年度であり,(1)と(2)では追加的なデータ収集を,(3)では教育現場と連携をとった事例検討を実施した。最後に,研究の全体的な総括を行った。 (1)と(2)における事象関連電位P3を指標とした研究については,前年度からの継続研究とわれわれが実施した先行研究(宮島・恵羅,1999;恵羅・宮島,2000)との対比を行った。その一部については,上越教育大学研究紀要に論文として発表した(恵羅,2004)。主として,受動条件でのP3測定が重度知的障害を有する子どもを対象とした評価方法として適用可能なこと,受動条件と能動条件の組み合わせでP3測定することで音韻的短期記憶能力の自動的側面と方略的側面を区分して評価可能であることが明らかになった。非単語復唱課題による音韻的短期記憶の評価に関する研究については,知的障害児66名を対象として実施した検査結果について分析を行い,この課題が臨床応用上有効であることを確認した。(3)については,音韻的短期記憶に困難を有する小学生男子一事例を対象として,WISC-IIIやK-ABCなどの標準化された検査の結果を加えた上で,個別指導計画の作成を試みた。作成した原案を対象児の学級担任に説明し,実施上の問題点について継続的に協議した。 研究の総括として,本研究の成果が国際的な研究動向のなかで如何なる位置づけになるか再確認するために,文献的展望を実施した。その一部は,現在,「事象関連電位P3を指標とした発達障害児の認知機能の評価」という題目で投稿中である。この展望論文と(1)(2)の研究成果をまとめた3論文のあわせて4論文をもとに研究成果報告書を作成した。
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Research Products
(1 results)