2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610204
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
野田 隆 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (50189403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 亜弓 北海道大学, 大学院・国際広報メディア研究科, 助手 (00333641)
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Keywords | 災害対策 / 組織間調整 |
Research Abstract |
本年度は交付申請にも記したように、資料収集・ヒアリング調査に集中したため、途中経過についてまとめることはしなかった。ヒアリングを実施した機関は以下の通りである。両名によって陸上自衛隊東千歳駐屯地(師団司令部)、伊達市役所防災対策室、壮瞥町総務課、虻田町災害復興対策室、豊浦町企画調整課、胆振支庁地域政策課を取材し、有珠山噴火災害に対する基幹組織の対応に関する知識の共有をはかった。また研究代表者が北海道総務部防災消防課、北海道警察本部警備部、西胆振消防組合本部、伊達市消防本部を、研究分担者がNHK札幌放送局、読売新聞札幌支局、北海道新聞伊達支局、HBCの取材を分担した。国に関しては内閣府政策統括官(防災担当)から現地対策本部の詳細な記録が刊行されたため、今年度はヒアリングを見送った。 1.国の現地対策本部が強力な布陣で最初期から活動したという前例のない対応が、組織間調整にとってどのような影響をもたらすか、が研究の一つの焦点だが、理論的には国と現場の中間に位置する諸組織の調整能力の空洞化が危惧される。現時点では、国が用意してくれる抽象度の高い施策を地元側の要望と照らし合わせて翻訳する働きがあったと思われ、中間組織の有効性を認知した。 2.突如、隣接町からの大量避難民を受け入れることになった豊浦町の立場も前例をみないものであり、これも本研究の焦点である。受け入れに際しては、緊急であったため事前調整らしきことは行われず、まさに臨機応変の対応となったようである。受け入れ後の各避難所は虻田町役場の制御下におかれたようで、いわば「場所だけ貸す」という分業となり、これは、細々とした費用負担の問題(事前協定等でクリアできる)を除けば、今後のモデルになるかもしれぬ緩やかな連携といえるかもしれない。
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