2002 Fiscal Year Annual Research Report
日本における学級改造史の研究-「履修主義」の定着・強化過程と学力問題-
Project/Area Number |
13610299
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
山根 俊喜 鳥取大学, 教育地域科学部, 教授 (70240067)
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Keywords | 学級 / 学級編制 / 学力 / 履修主義 / 修得主義 / 個性 / 特別学級 / 進級 |
Research Abstract |
まず、1890年代、学級制導入時の生徒集団区分の実態について、各府県の小学校規則(進級規則を含む)を資料に検討した。学校レベルでの実態については、この時期「複式編制」であった長野県日野尋常小学校を事例に、学級(生徒数)と学年、年齢の関係、試験と進級(「学年」)の関係を分析した。日野尋常小学校の事例からは、学級制導入時の初期においては、校内試験になったとはいえ従前と変わらず進級認定は基本的に試験成績に依っており、学年の区分は従前の等級による区分と大差なかったことがあきらかとなった。 次に、戦前の学級改造の先駆者といえる及川平治について、その理論と実践の検討を行った。 まず、(1)1900年代の単級学校経営実践の経験が、明石女子師範付属小学校における、クラス内に学力別小集団を分化させて教授することで、実質的に履修主義型の進級制度のもとで修得主義をめざす分団式動的教育法へどのように発展していったのかを分析した。 次に、(2)1920代半ば以降の合衆国への留学を経て測定運動の影響をうけた及川が、知能、「習慣態度」の測定と学力・人格形成をどのような関係として捉えたのか、このことがカリキュラム編成にどのような影響を与えているか、などの分析により、従前は修得主義型を志向していた及川が、履修主義へ傾斜していく過程を考察した。また、及川の理論的実践的位置を明らかにするために、1930年頃以降の学級経営論についての検討も行った。
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Research Products
(2 results)