2003 Fiscal Year Annual Research Report
1970年代以降の在日韓国・朝鮮人教育研究と実践の体系的研究
Project/Area Number |
13610328
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Research Institution | Poole Gakuin University |
Principal Investigator |
中島 智子 プール学院大学, 国際文化学部, 教授 (80227793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸田 由美 金沢大学, 工学部, 専任講師 (80334754)
野入 直美 琉球大学, 法文学部, 助教授 (90264465)
権 瞳 プール学院大学, 国際文化学部, 助手 (70288992)
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Keywords | 在日朝鮮人教育 / 教育実践 / テクスト分析 / ニューカマー教育 |
Research Abstract |
本年度は最終年度に当たるため、研究の取りまとめをおこなった。すなわち、昨年度来継続してきた724本の実践報告の分析を通して、1.日本の学校で民族性育成に取り組む根拠となる論理、2.「本名実践」の実相、3.日本人生徒の位相、4.進路保障の構造と論理、5.教室外での日本人教師と在日朝鮮人との「接触経験」、6.在日朝鮮人との「出会い」についての日本人教師の個人的な語り分析、7.在日教師の現状と認識、8.ニューカマーの教育実践にみられる「在日外国人教育」観、の各テーマを設定し、その分析結果を分担者や協力者が論文としてまとめた。また、理論的な研究として、1970年代以降の在日朝鮮人教育をどのように読み、記述すべきかという課題に応える研究や、先行研究や上記の分析結果を総合して1970年代以降の在日朝鮮人教育研究と実践を体系づけるための総括的検討もおこなった。 その結果については研究成果報告書にまとめたが、特に得られた成果としては、植民地主義と民族差別という歴史的社会的背景を持つ在日朝鮮人教育は、存在基盤と実践理由を示すためにその固有性に基づく独特な仕掛け(差別問題としての位置づけ、朝鮮人-日本人関係、本名-通名、民族的アイデンティティの強調、民族的な生き方の追求、日本人教師の責任など)を構築してきたこと、しかし在日社会が変化した今では必ずしも有効に機能しない面が生じていること、また近年活発化しているニューカマーの教育との間の断絶となっていることが確認された。これを打開して、在日朝鮮人教育とニューカマー教育を繋ぐより大きな枠組みの検討が今後の課題である。
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