2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610419
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森 紀子 神戸大学, 文学部, 教授 (50241154)
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Keywords | リヒアルト・ヴィルヘルム / 礼賢書院 / 孔子協会 / 『上海(週間)』 / 万国道徳会 / 孔学会 |
Research Abstract |
清末民初の孔教運動について、それが中国本土のみならず、日本・東南アジア等の海外華人社会においても共時的に受容され、伝播されていったこと、あるいは、孔教運動の指導者である康有為の思想が、民国においては万国道徳会などの民間宗教に影響を与えるに至ったこと、その一方で儒教を国是とする満州国では、孔学会という新たな尊孔組織が清朝の遺老によって展開されていったこと等の歴史的現実に鑑み、中国近代史上における宗教運動の意義を幅広く考察することが本研究の目指すところである。今年度は南開大学(天津)において文献資料の閲覧をするとともに、河北省新河県における現地調査の機会が得られ、華北農村における宗教施設の残存状況について、民国初期との比較を含め、基本的な知見が得られた。その後、短期間ではあったが青島を訪問して、清末民初期の宣教師リヒアルト・ヴィルヘルムと彼の礼賢書院(孔子協会)、および青島に隠棲した康有為の晩年の活動に関する資料発掘の手がかりが得られた。また横浜開港資料館に大正12年、13年分の『上海(週間)』(個人所蔵)の複製が存在することを知った。創刊時期の『上海(週間)』は国内の大学図書館の所蔵が確認されていないだけに貴重であり、その中から民国初期の孔教運動関連記事が確認された。なお、これまでの収集資料に基づく中間的成果は、北京で開催された中華民国史国際学術討論会(8月)において口頭発表され、論文は『神戸大学文学部紀要』に掲載することとした。
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