2002 Fiscal Year Annual Research Report
12,13世紀北中部イタリアにおけるカタリ派異端と教会、都市の諸関係
Project/Area Number |
13610463
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小田内 隆 立命館大学, 文学部, 教授 (20185606)
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Keywords | 異端 / 都市 / 民衆宗教運動 |
Research Abstract |
本年度は民衆レヴェルでの異端問題に対する態度や行動についてのリサーチを進め、支配者レヴェルでの異端問題とは異なった位相を明らかにすることに努めた。しかし、研究の過程で異端と都市、教会の関係をこの位相で明らかにするためには、より早期の段階、11、12世紀の「グレゴリウス改革」の時代の民衆宗教運動、異端問題を具体的に検討する必要が生じた。この点については、すでに一定の研究成果を発表しているが、最近の研究の深化、史料研究の範囲の拡大をつうじて、次の諸点の認識を深めた。 (1)前グレゴリウス改革期の異端について。とくに、12世紀以降の異端運動と社会の関係を考察する上で鍵となる民衆の終末論的心性を中心に検討。「紀元千年の恐怖再考」としてその成果の一部を発表した。 (2)グレゴリウス改革期の北・中部イタリアで展開した民衆宗教運動、いわゆるパタリア運動と都市の関係。 (3)12世紀前半のローマを舞台にしたアルノルド・ダ・ブレッシアの活動。 したがって、当初に考えていた13世紀中葉のアレルヤ運動の研究等は主要な文献を渉猟することにとどまり、本年の準備を踏まえて次年度でさらに遂行することになる。
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Research Products
(1 results)