2003 Fiscal Year Annual Research Report
関東・東北方言の接触地帯における方言変容についての調査研究
Project/Area Number |
13610489
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Research Institution | Iwaki Meisei University |
Principal Investigator |
加藤 正信 いわき明星大学, 人文学部, 教授 (90004035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
半沢 康 福島大学, 教育学部, 助教授 (10254822)
武田 拓 仙台電波工業高等専門学校, 教養系列, 助教授 (20290695)
大橋 純一 いわき明星大学, 人文学部, 講師 (20337273)
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Keywords | 福島県方言 / 茨城県方言 / 栃木県方言 / 言語地理学 / 社会言語学 / グロットグラム / 地域言語史 |
Research Abstract |
本研究の目的は「関東・東北方言の接触地域」である福島県南部地方方言の変容の様相,特に関東方言・共通語が当該地域方言に及ぼした影響を把握することである。その目的に即応すべく,(1)高年層を対象とした方言分布調査,(2)若い世代に向けての方言伝播・変容を把握するグロットグラム調査,(3)特定地点の多人数を対象とする社会言語学的調査という3種類の調査を当該地域で実施し,方言変容の実相を総合的に把握した。同時に各研究方法の妥当性・長短など,理論面の検討を行った。 (1)については,3年間で福島県中南部,栃木県北部,茨城県北部の計88地点について高年層話者を対象とした言語地図を作成し,その結果にもとづいて当該地域の言語史の推定を行った。 (2)については,福島県中南部を通る磐越東線沿いについて,郡山市-いわき市間の調査を実施し,磐越東線グロットグラムを作製した。また,常磐線沿いに茨城県各地点での調査を実施し,宮城県仙台市-茨城県取手市間のグロットグラムを作製した。(1)の言語地図と対照し,高年層データからは捉えきれない,中若年層における現在進行中の言語変化の様相を把握した。 (3)については,福島県白河市内において多人数調査を実施し,各年齢層合計100名程度の調査データを得,特定地域の言語変化について,意識との関わりを含めたより詳細な分析を行った。この調査分析により,言語使用の有無(しかも1地点1名)を把握するにとどまった(1)(2)の成果を,発展的に補うこととなった。 結果,関東・東北方言の接触地域における言語変容が,地理的な横の関係と年代的な縦の関係の両面から,さらにはそれらと言語意識との相関から,総合的に明らかになった。
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