2003 Fiscal Year Annual Research Report
メタファー・テクスト・コミュニケーションの理論的統合の試みと近現代ドイツ文学
Project/Area Number |
13610616
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 拓夫 北海道大学, 言語文化部, 教授 (20091457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 純一 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (30216395)
吉田 徹也 北海道大学, 言語文化部, 教授 (80003531)
高橋 吉文 北海道大学, 言語文化部, 教授 (20091473)
掘田 真紀子 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (90261346)
西村 龍一 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (10241390)
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Keywords | メタファー / テクスト / コミュニケーション / メディア / システム論 / 近現代ドイツ文学 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、初年度の理論的な研究成果をもとに具体的なテクストの分析をおこなうとともに、その結果を理論的な領域へとフィードバックする作業を中心に進めた。柱となったのは次の3点である。(1)イロニーとメタファー:これは意味転換機能としてのメタファー分析の一環である。従来イロニーに与えられてきた距離と客観化、浮遊と仲介等の機能をメタファー論の観点から分析し、ロマン派から現代にいたるドイツ文学の具体的テクストに即して検討した。その結果、イローニッシュな表現技法の多くがメタフォリカルな意味転換の契機として機能していること、また、20世紀の文学作品においてはこの技法が極めて意識的に用いられていること等が確認された。(2)テクスト相互コミュニケーション機能の分析:思想の直接的(オブジェクトレベルでの)メッセージよりもメタファー的な(メタレベルでの)解釈と「意味」の進化論的競合がテクスト相互のコミュニケーションを推進させるのではないか、という前年度の仮説をもとに、ベンヤミン、ハーバマス、カント、マルクス等の批評的・思想的テクストの分析がおこなわれた。このテーゼの判断には認知心理学・社会心理学等を含めたさらなる具体的分析が必要と思われ、継続して検討されることになった。(3)社会システム論におけるメディア・コミュニケーションとメタファー:社会コミュニケーションに対するシステム論的アプローチをテクスト論との関連で具体的に分析した。その結果、近年のメディア文化論等に見られる機能主義的な方法論が、コミュニケーションの情報処理過程でメタファー的意味転換機能を積極的に利用しており、ポスト・モダン以降のテクスト論とパラレルな関係にあることが確認された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 吉田 徹也: "今日、過去の総括とは何を意味するか"北海道大学大学院国際広報メディア研究科紀要. 45号. 359-381 (2003)
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[Publications] 高橋 吉文: "乖離する音"北海道大学国際広報メディア・言語文化部研究報告叢書. 54号. 55-76 (2003)
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[Publications] 鈴木 純一: "聴衆という制度"北海道大学国際広報メディア・言語文化部研究報告叢書. 54号. 27-40 (2003)