2002 Fiscal Year Annual Research Report
アイヌ語の副助詞の形式意味論による理論化とフィールド研究への還元
Project/Area Number |
13610664
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Research Institution | Sapporo Gakuin University |
Principal Investigator |
奥田 統己 札幌学院大学, 人文学部, 助教授 (60224151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今仁 生美 名古屋学院大学, 外国語学部, 助教授 (20213233)
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Keywords | アイヌ語 / 副助詞 / 量化子 / wh句 / 取り立て |
Research Abstract |
今年度の研究計画に基づき、1 8月・2月・3月の3回会議を開催し、アイヌ語テキストの観察と理論的考察をめぐっての討論を行った。Westerstahl氏(海外共同研究者)は持病の悪化のため参加できなかった。 会議のなかでは、まず前年度に引き続いて、アイヌ語の副助詞のうちとくに量化表現に関わるものについて、その分布を量的に確認するとともに、鍵となる例文を約120例抽出した(前年度抽出済みのものを含む)。さらに、類似した構造による量化表現を持つ日本語とアイヌ語とを対照し、両言語の共通点と相違点とを観察した。 そのうえで、そうした分布や例文の解釈および日本語との異同を、量化子理論の観点から説明する仮説の検討を深め、事実をほぼ説明できる結論に到達した。 さらに、アイヌ語のその他の副助詞とくに取り立ての働きを持つものの意味・機能について、分布の観察・例文の抽出・日本語との対照を進めながら理論的説明の可能性を探り、研究代表者・分担者双方がアイヌ語の言語事実と一般言語学的理論についての理解を交換した。 2 研究チームをメンバーとするメーリングリストを開設し、海外共同研究者を含め遠隔地での討論を継続した。 3 1・2の討論の成果として、研究発表欄に記載の諸論文を執筆・公刊した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 奥田 統己: "語り継がれる歴史と時間-アイヌの歴史認識を手がかりとして"あらたな歴史へ いくつもの日本II. 83-107 (2003)
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[Publications] 奥田 統己: "アイヌ-6は「神聖な数」か"考古学ジャーナル. 500. 12-15 (2003)
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[Publications] 宝島格, 今仁生美: "計算機による言語理解のための方策"名古屋学院大学 研究年報. 15巻. 83-108 (2002)
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[Publications] 宝島格, 今仁生美: "計算機による言語理解のための方策2"名古屋学院大学論集 人文自然科学篇. 39巻2号. 31-42 (2003)
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[Publications] 今仁生美: "日本語のwh句の意味論的分析"名古屋学院大学論集 言語・文化篇. 14巻2号. 57-68 (2003)