2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13620083
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 明 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10012460)
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Keywords | ハンガリー事件 / 毛沢東 / ソ連共産党 / 中国共産党 |
Research Abstract |
1956年、民主化を求めるハンガリーの民衆の戦いはソ連の戦車により無残にも押しつぶされた。一旦はハンガリーから撤退する方針を固めていたソ連共産党指導部がなぜ、ハンガリーへの再介入方針を決めたかは冷戦史の謎であった。中国共産党の元宣伝部長の呉冷西はその回想の中で、中国共産党の強い説得により、ソ連共産党指導部は再介入方針を決めた、と車張した。しかし、2003年に北京の中央文献出版社から出された逢先知・金沖及主編『毛沢東伝1949-1976』は、ソ連軍の再介入は、中国共産党の説得によるものではなかった、と指摘している。すなわち、ハンガリーの事態が緊迫化する中で、毛沢東は「暫時、決定を急ぐな。何日か様子をみてからにしよう。もし進攻策をとるのであれば、反革命が一層暴露され、人民がはっきりとわかるようになるまで待つというのが適切である」という見解をソ連共産党に伝えるよう指示していたことを明らかにしている。しかし、ソ連共産党指導部は180度、方針を転換し、再介入を決定した、というのである。呉冷西の回想とは大きな食い違いがあるが、ハンガリー事件に対する中国共産党の関与の度合いを解明するには、中ロ双方のアーカイブの一層の公開が必要である。
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Research Products
(2 results)