2002 Fiscal Year Annual Research Report
地方政府の政策イノベーションと水平波及に関する研究 ―関東地域における事例研究―
Project/Area Number |
13620101
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
片岡 正昭 慶應義塾大学, 総合政策学部, 助教授 (80152669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 修一郎 群馬大学, 社会情報学部, 専任講師 (70323326)
桑原 英明 常磐大学, 人間科学部, 助教授 (80225325)
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Keywords | 政策イノヴェーション / 政策波及 / 情報公開条例 / 景観保護条例 / 環境基本条例 / 外国人政策 / 地方政府 / 政策過程 |
Research Abstract |
本年度は、関東地方の島しょ部を除く全462市区町村に対し、対象とする政策領域のうち、政策波及現象がよく観察できる情報公開条例・環境基本条例・景観保護条例の3条例を対象にした条例内容の調査を行った。8月初旬に送付依頼を行い、最終的に条例送付依頼に対する返答があったのは450市区町村(返送率97.5%)であった。 条例の送付を受けて、各担当ごとに条例内容の分析に当たった。情報公開条例については送付数が膨大なため、内容のコーディング作業ののち、県レベルの制定が早い神奈川県と埼玉県を中心として分析を行った。制定時点の分析から、各県ごとに条例の波及速度は大きく異なるが、内容的に見ると、市区町村が自主的に自治立法を進めだ初期の条例には充実した内容は少なく、中央政府による情報公開法案の検討作業の進展および99年の立法による努力義務化が、市区町村条例の制定の促進と内容の進化に重要な影響を与えたことが確認された。 環境基本条例については、各都県とも都市部での制定が主で、町村部への波及は限られていることが明らかとなった。これは、情報公開条例と異なり、中央政府が法律で市区町村に条例制定を義務づけていないことのほか、理念的条例で済む都県レベルと異なり、市町村では産廃や残土処理・水源保護など、個別具体的な課題に沿って条例化を図る傾向にあること、とくに上乗せ・横だしを図るのでなければ県条例の運用で十分と考えられていること、町村レベルの自治立法能力の脆弱性、地球環境問題が町村にとって重要な政策課題とは考えられていないことが挙げられる。 景観保護条例については、上記の条例収集結果に基づいて条例の内容分析を行うとともに、群馬県内の市町村を中心にヒアリング調査を実施し、内容分析からの情報伝達経路の推定を裏付ける証拠を収集した。また、1960年代から1980年代末までの全国の景観条例を収集し、内容分析を実施し、景観条例がどのように展開して現在の形態になったかを追跡した。更に、内容の類似性から自治体間の相互参照・情報伝達の経路を推定した。
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