2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13630089
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
澤井 実 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (90162536)
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Keywords | 機械金属工業 / 産業集積 / 東大阪 / 高井田 / 工業学校 / 機械商社 / 下請工場 / 拠点工場 |
Research Abstract |
本年度は第1に戦前期を日露戦後・第1次世界大戦期・1920年代・1930年代・戦時期に時期区分した上で、とくに1930年代から戦時期にかけての機械金属工場に関する情報の収集・整理に力点を置いて研究を進めた。その過程で東大阪市高井田地区における産業集積の重要性がきわめて大きいことが判明したため、当該地域の中小零細企業ならびに下請企業に関する情報を収集・整理する一方で(基本資料は近畿地区協力工業協議会『近畿地区発註工場及協力工場名簿』、近畿第二種工業部門整備協議会ほか『発註工場別協力工場名簿(其ノ一)』[大阪商工会議所所蔵]など)、関係者に対するヒアリング調査も実施した。その結果、1930年代から戦時期にかけての高井田地区における新規創業ならびに他所からの転入を促した諸条件として、道路・用地等のインフラ整備、企業者・起業者間の濃密な人的ネットワーク、発注工場たる拠点企業の役割、機械商社の機能などがきわめて重要であることが明らかになった。なおこの研究成果の一部は現在「戦時下における工場地帯の形成-大阪府布施市高井田地区の事例-」として取りまとめ中であり、平成14年度に刊行する予定である。 第2に大都市型産業集積の形成を促した制度的諸条件の中の1つである中等技術教育機関(具体的には工業学校)の役割についても調査を進め、戦間期に全国最大規模を誇った大阪市立都島工業学校(現在の大阪市立都島工業高等学校)に関して、卒業者名簿を使いながら機械科卒業者の異動状況調査を行った。同校およびその同窓会組織である浪速工業会には多数の歴史資料が保存されており、こうした資料を駆使しながら技術教育内容の変遷、教員の社会的役割、中小機械金属工場の技術的・経営的発展に対する卒業生の貢献などの諸論点について研究を進めることも次年度以降の課題の1つである。
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