2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13630089
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
澤井 実 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (90162536)
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Keywords | 機械金属工業 / 産業集積 / 東大阪 / 高井田 / 工業学校 / 機械商社 / 技術者 / 下請工場 |
Research Abstract |
本年度は第1に大阪府布施市高井田地区(現在でも全国有数の工場集積地の一つ)における準戦時・戦時期の工場集積状況およびその要因に関する分析である論文「戦時下における工場集積地の形成-大阪府布施市高井田地区の事例-」を刊行した(裏頁「研究発表」参照)。 第2に大都市型産業集積の形成を促した制度的諸条件の一つである中等技術教育機関(具体的には工業学校)の役割についても調査を進めた。戦間期に全国最大規模の生徒数を誇った大阪市立都島工業学校(現在の大阪市立都島工業高等学校)の卒業生の動向に関して、同校に保存された学校関係資料に全面的に依拠しながら、同校卒業生の就職市場の動向、就職に際しての学校教員の役割、就職後の卒業生の企業間移動状況および昇進状況を検討し、戦間期において高等工業学校の新設・拡充と工業各種学校の発展に挟撃されて工業学校の地盤沈下が進むにもかかわらず、都島工業卒業生は従来からのキャリア形成の道(職長ではなく技術者への道)を維持できたことが明らかとなった。なおこの研究成果の一部は、現在「戦間期における工業学校卒業生の就職・移動・昇進-大阪市立都島工業学校を事例に-」と題する論文として取りまとめ中であり、平成15年度中に刊行する予定である。 第3に都島工業の夜間部(発足時の名称は附属工業補習夜学校)、大阪府立西野田職工学校・同今宮職工学校卒業生の動向についても調査を進めた。こうした研究を拡張することによって、できれば大阪高等工業学校を頂点とする戦前期大阪の階層的に編成された技術者供給構造を明らかにし、それが産業集積の形成および中小企業の技術向上にいかなる影響を与えたかを検討してみたい。
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