2001 Fiscal Year Annual Research Report
イジングスピン系RRU2Si2(R=Tb,Dy)の2次元高次磁気構造の中性子回折
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13640362
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川野 眞治 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (70027457)
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Keywords | 長周期磁気変調 / 2次元的変調 / フラストレーション / 中性子回折 / 磁気サテライト / TbRu_2Si_2 / DyRu_2Si_2 |
Research Abstract |
DyRu_2Si_2について 単結晶によるパルス中性子回折実験を行った。その結果、(1)高温相T_N=29K(3C)16T(3C)16T_t=3.5Kでは、Q=(2/9 00)の1次元的な磁気変調構造であることを確認した。しかし、(2)中間相T_t(3C)16T(3C)16T_t'=1.5Kでは、a^*-b^*逆格子面内の低対称ライン上に数多くの磁気サテライトを見出した。(3)このサテライトは、磁気単位胞9a×9a×cで、この単位胞内のコーナー位置と体心位置のDyイオンが常磁性とするとa^*-b^*逆格子面内の磁気ブラッグ反射の分布をよく説明できることが分かった。このモデルは、1次元的ではなく、2次元的変調構造である。 TbRu_2Si_2について 単結晶による中性子回折実験をこれまでデンマークRisφ国立研究所で続けてきた。その結果、(1)高温相T_N=56K(3C)16T(3C)16T_t=5Kでは、Q=(3/13 0 0)の1次元的変調構造であることを確認した。しかし、(2)中間相T_t(3C)16T(3C)16T_t'=4.2Kでは、DyRu_2Si_2の場合と同じく数多くの磁気サテライトをa^*-b^*逆格子面内の低対称ライン上に観測した。(3)このサテライトは、磁気単位胞13a×13a×cで、単位胞内のコーナー位置と体心位置のTbイオンが常磁性となる2次元的磁気変調モデルで説明できた。(4)低温相T(3C)16T_t'では、1部のサテライトが分裂して更に複雑な変調構造になる。 両者のコーナー位置と体心位置では強いフラストレーション効果のため常磁性状態が生じていると考えられる。 以上の結果をポーランド、クラコフで開かれたヨーロッパ結晶学会とミュンヘンでの中性子散乱国際会議で発表した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 川野眞治, 小杉武史, 高橋美和子, 繁岡透, 岩田允夫: "希土類化合物TbRu_2Ge_2における2次元高次磁気構造のパルス中性子回折"京都大学原子炉実験所学術講演会報文集. 35. 124-129 (2001)
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[Publications] S.Kawano, M.Takahashi, T.Shigeoka, T.Kosugi, N.Iwata: "Higher order 2D magnetic modulations in TbRu_2Ge_2 and DyRu_2Si_2"京都大学原子炉実験所学術講演会報文集. 36. 18-22 (2002)
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[Publications] 岩田允夫, 繁岡透, 川野眞治: "DyRu_2Si_2の二次元磁気構造"京都大学原子炉実験所学術講演会報文集. 36. 131-134 (2002)
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[Publications] S.Kawano, T.Kosugi, M.Takahashi, T.Shigeoka, N.Iwata: "Neutron diffraction studies of two-dimensional magnetic ordering in TbRu_2Ge_2 at low temperatures"J. Phys. Soc. Jpn. Suppl. A. 70. 209-211 (2001)
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[Publications] S.Kawano, B.Lebech, M.Takahashi, T.Shigeoka, N.Iwala, T.Kosugi: "Long-period two-dimensionally magnetic modulations in TbRu_2Si_2 and TbRu_2Ge_2"Proceedings of Aperiodic Structures 2001, Krakow, Poland. 57-60 (2001)