2003 Fiscal Year Annual Research Report
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13640405
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Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
前田 敏輝 石巻専修大学, 理工学部, 助教授 (80202307)
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Keywords | 動的光散乱 / 表面波光散乱 / ヘテロダイン光散乱 / 高分子 / 粘弾性 / LB膜 / ラングミュア膜 |
Research Abstract |
本研究では,界面に閉じ込められた高分子鎖間の二次元な相互作用を調べるため,主として水面上高分子超薄膜の光散乱分光法による粘弾性測定を試みた. 1.分光システムの改良 昨年度来,継続的に気水界面上の希薄な高分子膜の動的光散乱を試みているが.これまで分子鎖のからみ合い効果について定量性のあるデータを得られるほどの,十分な散乱光強度を観測できていなかった.今年度は,AOM(音響光学変調器)2段を利用したヘテロダイン分光システムの導入に踏み切った.この新分光システムにより,期待される数KHz〜MHz域のダイナミクスが従来より高感度で観測できると考えたからである.また,粘性測定が動的光散乱の緩和時間から評価できると同時に,ヘテロダイン分光によって界面の振動モード(リプロン)の解析が可能となった.これにより粘弾性評価が行えるようになった. 2.気水界面展開膜の光散乱 モデル高分子としてPMMA(ポリメチルメタクリレート)およびPS(ポリスチレン)を採用した.しかしながら,2次元系高分子系の表面拡散や絡み合いに伴う粘弾性の光学的測定は,これまでのところ十分な結果が得られていない.この原因を解明するため,現在,気水界面に吸着した高分子から動的光散乱強度を数値計算により評価中した.双極子散乱の近似のもと界面の誘電特性を取り入れた計算から,散乱光に非常に強い角度依存性があることがすでに分かっている.界面の光学的効果を正しく評価して,光学配置などの実験条件を最適化すれば,測定可能であると再確認した. 分光システムの構築に予想以上の時間を取ったため,研究期間の最終年度にも関わらず大きな成果が出ていないが,界面活性剤を導入したゆらぎの大きい系については十分な信号強度を得ている.この実験結果と装置の改良点に関する論文を投稿準備中である.
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