2004 Fiscal Year Annual Research Report
原始的補体系の解析に基づく円口類の系統発生的位置づけに関する研究
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13640700
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Research Institution | Hiroshima Prefectural Women's University |
Principal Investigator |
藤井 保 県立広島女子大学, 生活科学部, 教授 (10181314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 芳明 県立広島女子大学, 生活科学部, 教授 (30154462)
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Keywords | 円口類 / メクラウナギ類 / ヌタウナギ / 補体系 / マンノース結合レクチン関連セリンプロテアーゼ(MASP) / レクチン経路 |
Research Abstract |
円口類に分類されているメクラウナギ(hagfish)やヤツメウナギ(lamprey)では、抗体非依存的に活性化されオプソニン活性を発現する原始的な補体系が存在し、生体防御の主要な部分を担っている。メクラウナギ類ヌタウナギでは、限定分解を受けてオプソニン活性を発現する補体第3成分(C3)の性状が既に明らかになっている。そこで、ヌタウナギにおける抗体非依存的なオプソニンの生成機構を解明する一環として、C3を限定分解する分子の検索を行ったところ、マンノース結合レクチン関連セリンプロテアーゼ-1(MASP-1)cDNAを得ることに成功した。このcDNAから予想されるMASP-1は、713残基のアミノ酸からなる分子量80.4kDaのタンパク質であり、アミノ末端側に位置するレクチン認識部位のH鎖部分と、カルボキシル末端側のセリンプロテアーゼドメインからなるL鎖部分とで構成されていた。Clustal-Xを用いた解析により、H鎖部分はヤツメウナギの各種MASPと同一系統群を形成し、一方、L鎖部分は種々の動物のMASP-1との間で同一系統群を形成するという興味深い結果が得られた。そこで、ヌタウナギMASP-1の役割を解析するため、L鎖領域の30アミノ酸からなるペプチドを合成し、これをキャリアタンパク質と共にウサギに投与し抗血清を得た。精製抗体を用いてヌタウナギ血清タンパク質のウエスタンブロット解析を行ったところ、約80kDa領域にこの抗体と特異的に反応するタンパク質の存在が明らかになった。また、GlcNAc結合カラムを用いて血清から精製した抗原認識レクチン分画についてウエスタンブロット解析を行ったところ、L鎖の推定分子量と同じ約28kDaのタンパク質を検出することができた。これらの結果は、抗原認識レクチンがGlcNAcと結合することによりMASP-1が活性化し、H鎖とL鎖への限定分解が起きたことを示唆している。以上の結果から、今回同定したMASP-1が抗体非依存的な生体防御反応に関与していることが示唆された。
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Research Products
(3 results)