2001 Fiscal Year Annual Research Report
植生及び土壌の熱・水分・二酸化炭素収支モデルの作成
Project/Area Number |
13650651
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平岡 久司 京都大学, 工学研究科, 助手 (80115922)
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Keywords | 植栽 / 熱収支モデル / 光合成 / 蒸散 / 乱流モデル / 放射モデル |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画は以下の2点であった。 1.植生は十分な水分供給がされているとの仮定をし、植生の土壌部分については、今年度は考慮せず、地上部分のみの植裁の熱・水分・二酸化炭素収支モデルを作成する。 2.測定結果との比較から作成したモデルの検証を行う。 1.植裁の熱・水分・二酸化炭素収支モデルに関しては、植裁の乱流モデル、放射輸送モデル、気孔コンダクタンスモデルを統合することによって作成した。今回作成したモデルの特徴は、(1)植裁の乱流2方程式モデルとRossの植裁内放射輸送モデルを用いることにより、3次元植裁に対しても適用可能にした。(2)短波放射を光合成有効放射と近赤外放射分離した。これは光合成有効放射が直接気孔コンダクタンスに影響を与え、短波放射全体は葉温の熱収支に与えるためである。また、Rossのモデルは気体放射理論を拡張したものであり、(3)気孔コンダクタンスモデルに対して新しいモデルを採用した。従来なされている研究では気孔コンダクタンスモデルに関して実験式を用いていたが、この研究では、光合成での酵素反応から構築された光合成モデルを組み込んだ、気孔コンダクタンスモデルを採用した。このことにより光合成の生理を考慮に入れた理論的なモデルを使用することができた。以上、今回作成したモデルは、従来の流体の乱流モデルの植裁への拡張に、また、植裁放射モデルは気体放射や個体間の相互放射理論と同レベルになっている。 2.の測定結果との比較から作成したモデルの検証に関しては、Naot and Mahrer (1989)の綿畑(高さ1.4m)での測定データ(3日間)との比較を行った。比較した物理量は、2.5mと1.4m高さでの風速、1.4mでの気温、そして正味放射量の3つである。どの量もモデルによる予測値は測定データと良い一致を示した。この研究で作成したモデルは有効であることが確かめられた。
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[Publications] Hisashi Hiraoka: "Simulating the Microclimate Produced by a Single tree"Architectural and Urban Ambient Environment, First International Workshop -Nantes, France, Feb.6-8 2002. (CD-ROM). 12 (2002)
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[Publications] 平岡 久司: "樹木の熱・水分・二酸化炭素収支のモデル化に関する考察"日本建築学会計画系論文集. 546. 53-60 (2001)
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[Publications] Hisashi Hiraoka: "An investigation of the Effect of Environmental Factors on the Budgets of Heat, Water Vapor, and Carbon Dioxide within a Tree"3rd International Symposium on Advanced Energy Conversion Systems and Related Technologies, held at Nagoya University. (CD-ROM). 718-724 (2001)
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[Publications] 平岡 久司: "植裁内熱・水分収支モデルの検証"第15回 数値流体力学シンポジウム講演論文集,E01-1. (CD-ROM). 8 (2001)
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[Publications] Hisashi Hiraoka, Hiroshi Nakashima: "A Non-Linear Multi-Regression Model of Stomatal Conductance Using a Neural Network"Progress of Agricultural Information Technology, ed. Chunjiang Ahao, International Academic Press. 102-110 (2000)
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[Publications] Hisashi Hiraoka: "An Estimation of the Balances of Heat, Water Vapor, and Carbon Dioxide within a Tree by Means of a Simulation Model"Third International Symposium on Computational Wind Engineering, held at The University of Birmingham. 207-210 (2000)