2001 Fiscal Year Annual Research Report
交流インピーダンス測定によるバイオセンシング法の確立
Project/Area Number |
13650884
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
桑畑 進 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40186565)
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Keywords | バイオセンサー / 交流インピーダンス法 / グルコースオキシターゼ / 複素インピーダンスプロット / 妨害物質 |
Research Abstract |
電子メディエーターとしてフェロセンカルボン酸を用い、それとグルコースオキシダーゼとを溶解した電解液(pH7)にグラッシーカーボン電極を浸漬して、サイクリックボルタンメトリーおよび交流インピーダンス測定を行った。ボルタモグラムにはフェロセンカルボン酸による可逆波が現れ、複素インピーダンスプロットには傾きが45°の直線が現れた。これらの結果は、フェロセンカルボン酸のレドックス反応の電子移動が充分に速く、反応は拡散が律速していることを示している。電解液にグルコースを添加すると、ボルタモグラムは酵素反応を示す典型的なシグモイダル型に変化し、最大電流値はグルコース濃度を高くするにつれて大きくなってアンペロメトリックセンシングの挙動を示した。いっぽう、複素インピーダンスプロットはグルコースを添加すると半円を描き、その直径はグルコース濃度を増大することによって減少した。この現象は、グルコース酸化反応において酵素反応による電子移動が律速段階となっていることを示しており、プロットの直径の減少は反応速度の向上を意味している。ボルタモグラムと複素インピーダンスプロットを比較することにより、複素インピーダンスプロットの直径が示す電荷移動抵抗(dV/dI)とボルタモグラムの微分値(dI/dV)の逆数とが一致することが解り、その関係を利用すると交流インピーダンス法によってもグルコースの濃度を求めることができることを明らかとした。 さらに、グルコース測定におよぼす妨害物質の影響についても調べ、妨害物質として最も影響の大きいアスコルビン酸を用いた。ボルタモグラムでは電極によるアスコルビン酸の直接酸化反応が現れ、明らかにグルコース濃度測定を妨害するのに対し、交流インピーダンス測定ではその影響は皆無であり、交流インピーダンス測定法は妨害物質の影響を回避するのに有効な手段となり得ることを見出した。
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