2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヘムペプチドを用いた高一酸化窒素スピントラップ分子の創成
Project/Area Number |
13660101
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
奥 忠武 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (20059637)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河内 隆 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (70339290)
西尾 俊幸 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (10256836)
|
Keywords | ヘムペプチド / NOトラップ / シトクロム / ウマ心筋 / 大腸菌 / 発現 / 酵素消化 / 立体構造 |
Research Abstract |
【1】大腸菌ならびに酵素消化による各種ヘムペプチドの物理化学的特性の比較 ヘムペプチド(HP)の調製のために、紅藻スサビノリ由来シトクロム(Cyt) c_6の塩基配列を鋳型として、PCRを行い、Cyt c_6のA1-K32のHP32、A1-T43のHP43、A1-A57のHP57およびA1-V66のHP66、計4サンプルの大腸菌での発現精製を行った。その結果、HP57(発現量0.7mg/L)、HP66(1.5mg/L)の2種を発現させることが出来たが、57残基よりも低分子なHPの調製は出来なかった。そこで、更に低分子なHPを調製するために、ウマ心筋Cyt cをG1-M65のHP65の調製では臭化シアンにより、V11-K32のHP22の調製ではキモトリプシンにより、C14-K22のHP9ではトリプシンによりそれぞれ断片化し、大腸菌で発現させたHP(HP57,HP66)と合わせて5サンプルのHPを調製し、その物理化学的性質について検討した。可視吸収スペクトルを測定した結果、HP66,65,57,22では、酸化型で406nm、還元型で549,520,549nmに吸収極大を示し、HP9では、酸化型で395,620nm、還元型で549,412nmに吸収極大をそれぞれ示した。HP9の酸化型620nmの吸収極大および還元型520nmの吸収の消失は、HP9が5配位型であることを示している。また、酸化還元電位はより低分子なHPほど低く、最も低分子なHP9(-132mV)の酸化還元電位は、Cyt c(260mV)に比べ、392mV低下した。 これらの結果から高い酸化還元電位をもつ分子を作製するには、より低分子化させてヘム核を溶媒に露出させればよいことが明らかになった。 【2】各種ヘムペプチドのNOトラップ能の比較 調製したHPのNOトラップ能について検討した結果、ペプチド鎖が短くなるにつれてHPのNOトラップ能は向上し、最も低分子なHP9のNOトラップ能のk_<cat>(s^<-1>)は1.834であり、Cyt c(k_<cat>(s^<-1>)=0.015)の約120倍のNOトラップ能を示した。これまでに、人工的に合成されたNOトラップ分子は多数開発されているが、本研究のように天然分子から低分子化した分子が、極めて秀れたNOトラップ能を示したという報告は全くなく、本研究が最初の成功例である。 以上の結果から、3年間の本研究が、ほぼ所定の目的を達したものといえる。 本成果を踏えて、本研究で調製したHPを用いた生体内NOの調節について検討を行うことが今後の裸題であろう。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Oku, T., et al.: "A novel microperoxidase activity : methyl viologen-linked nitrite reducing activity of microperoxidase"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 315. 815-822 (2004)
-
[Publications] Oku, T., et al.: "Radiation-Induced Nitrite Reducing Activity of Cytochrome c"J.Agric.Food Chem.. 51(23). 6835-6843 (2003)