2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13660166
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
古川 郁夫 鳥取大学, 農学部, 教授 (50032313)
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Keywords | 砂漠緑化防止 / ポプラ類 / 材質特性 / 肥大成長 / 気象要因 / 灌漑 / 在来種 / 交配種 |
Research Abstract |
中国の3北(西北、華北、東北)地域と呼ばれる北部帯は、広大な乾燥地帯であり、たえず砂漠化の脅威に晒されている。砂漠化防止のためにこの地域帯には、乾燥に強く、成長の良い各種のポプラ類が大量に人工造林されている。これらの砂漠緑化用ポプラ類も、現地では、環境保全用のためだけでなく、その幹材や枝条が貴重な生活資材として利用されている。それにもかかわらず、これらの材質に関する研究は皆無であった。 本研究では、毛鳥素砂漠に植林された在来種ポプラ(P.s : Populus simoni)と交配種ポプラ(Pb : P.beijingenesis)の約35年生の林分から採取した種々の胸高部位円板を用いて、肥大成長と気象因子との関連性、道管要素長と木部繊維長の水平変動と成熟化の時期や幹内での部位との関連性、などの材質変動特性について調べた結果、以下の結論を得た。 (1)肥大成長は、P.bがP.sよりも、灌漑区産が無灌漑区産よりも、優勢木が劣勢木よりも良好であった。また肥大成長には月別平均気温や月別降水量よりも、最高気温10〜30℃の総日数(至適温度日数)や降水量10mm以上の総日数(至適降水日数)がはるかに強く関与していた。 (2)材質的成熟に達する髄からの年輪数(成熟齢)は、P.bがP.sよりも約15年も早く、しかも灌漑することによって同一樹種でも約10年も早まり、しかも優勢木が劣勢木よりも約5年早かった。成熟に達する髄からの距離(成熟部位)は、P.bでは優勢木、劣勢木ともにほぼ同じであったが、P.sでは劣勢木が優勢木よりも成熟材の割合が少なく、灌漑することによってそれが増加した。なお、いづれの場合も成熟材部の道管要素長や木部繊維長はほぽ同じであった。 このように乾燥地ポプラの材質的変動には肥大成長の良否が強く関与することが判明した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 黄 栄鳳, 古川郁夫: "中国半乾燥地域におけるポプラ造林木の肥大成長と気象因子との関連性"木材学会誌. 46. 363-367 (2000)
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[Publications] 黄 栄鳳, 古川郁夫: "2種の中国乾燥地域ボプラ造林木の道管要素長と木部繊維長の水平変動"木材学会誌. 46. 495-502 (2000)