2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13660166
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
古川 郁夫 鳥取大学, 農学部, 教授 (50032313)
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Keywords | 乾燥地林業 / 樟子松 / 材質特性 / 肥大成長 / 仮道管長 / 人工林 / 天然林 |
Research Abstract |
三北(西北、華北、東北)地域と呼ばれる中国の北部一帯は、広大な乾燥地帯であり、たえず砂漠化の脅威に曝されている。砂漠化防止のためにこの地域一帯には、乾燥に強く、成長が良く、しかも経済性にかなう各種の樹木による造林事業が展開されている。これらの樹木のうち本年度は、樟子松(P.s : Pinus sylvestris var.mongolica)を研究の対象とした。樟子松は東北部半乾燥地帯において重要な造林樹種であるにもかかわらず、これの材質特性に関する研究は少ない。 本研究では、呼倫貝爾砂地(紅花爾基)に自生する天然二次林(標高791m、林分密度2500本/ha、半乾燥地)から28-33年生の樟子松(以下、産地林木)7個体、ならびに科爾沁砂(章古台)の人工造林地(標高226m、林分密度1200本/ha、半乾燥地)から29-30年生の樟子松(以下、導入地林木)9個体のそれぞれの胸高部位から円板を採取した。各円板を用いて連年肥大成長量と仮道管長の水平変動を計測し、各林木の肥大成長の特徴ならびに、材質的な成熟時期や幹内での成熟部位などの材質特性について調べ、以下の結果を得た。 (1)産地林木は導入地林木に比べて、全年輪の平均年輪幅が約1.5倍大きかった。この違いは初期成長期間(肥大成長の良好な初期の期間)の違いによるものであり、ちなみに産地林木のそれは18-19年間で、導入地林木は8-11年であった。 (2)材質的成熟に達する髄からの年輪数(成熟齢:仮道管長の伸長が1%以下となる年齢)は、産地林木では髄から24-26年、また髄から60-80mmの部位にあり、一方、導入林木では髄から23-25年、髄から50-65mmであった。成熟齢は両林木ともぼぼ同じであったが、未成熟材の占める割合は導入地林木のほうが高く.(80-95%)、産地林木は70-90%とやや低かった。したがって、産地林木のほうが利用の上では有利であることが分かった。 (3)年輪幅と仮道管長の間には特に関係は認められなかった。しかし、導入地林木の平均仮道管長は、産地林木のそれよりもやや長かった。 (4)両林木とも髄から3年輪目までの仮道管長でもって髄から30年輪目以降の材質的特性を80%以上の確率で推定できる事が分かった。この知見は、早期に材質的選抜が可能な事を示唆するもので、有益な成果である。
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Research Products
(1 results)