2001 Fiscal Year Annual Research Report
外来性魚食魚ブラウントラウトが在来魚類群集に与える生態的・遺伝的影響評価
Project/Area Number |
13660171
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
後藤 晃 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (30111165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
帰山 雅秀 北海道東海大学, 工学部, 教授 (80305937)
前川 光司 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (80002301)
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Keywords | ブラウントラウト / 外来性魚食魚 / 放流・定着 / 捕食圧 / 近縁種間競争 / 生態的圧迫 / 遺伝的多様性 / 在来魚類群集への影響 |
Research Abstract |
2001年4月から2002年1月までの期間に、北海道南部の戸切地川水系(流程約24km)と北海道中央部の支笏湖水系(面積約20.9km^2)において、外来性サケ科魚類の1種、ブラウントラウト(Salmo trutta)の河川・湖沼内分布、個体移動、成長および摂餌生態に関する調査を行い、日本の水系における生活史特性と捕食を介しての在来魚類群集に与える影響について考察した。本研究によって新たに得られた成果は以下の通りである。 1)戸切地川水系では、1991年に中流域にダムが建設された直後に、ブラウントラウトの発眼卵の埋没放流が数年間にわたって行われた結果、2001年では0^+-4^+以上の年齢群から成る個体群が形成され、ダム湖の上流域と下流域に広く拡散していることが示された。 2)本種個体群の成熟年齢は、雄では1+でも少数見られるが、多くの個体は2+以上であり、雌では2+での成熟も稀に見られるが、大多数の個体は3+以上であった。繁殖期は11月中旬から1月下旬までの約2カ月間で、成熟個体はダム湖から流入本川に遡上し、多くは淵尻の礫底で産卵するのが観察された。 3)本種の食性を調査した結果、小型個体(<100mm FL)では主に水生昆虫と陸生昆虫を捕食し、大型になるに伴って魚類を捕食する割合が高まった。大型個体(>200mm FL)ではドジョウとフクドジョウを選択的に捕食する一方、カジカ属魚類に関しては捕食を忌避する傾向が見出された。 4)支笏湖水系では、湖への流入河川に生息する魚類はほぼブラウントラウトとニジマスで占められ、在来種のアメマスは夏季に河口域に近接するに過ぎなかった。また、河川から降下したブラウントラウトは魚食性となり、湖の沿岸部をニジマスとともに占有することが示された。 5)以上の結果から、ブラウントラウトは捕食を介してだけでなく、種間競争を通しての生息場の占有によっても、在来魚類群集に負の影響を与えることが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yamada, M.: "Extensive introgression of mitochondrial DNA found between genetically divergent forms of threespine stickleback, Gasterosteus aculeatus, around Japan"Environmental Biology of Fishes. 61・3. 269-284 (2001)
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[Publications] Goto, A.: "Geographic distribution pattern of the fluvial sculpin, Cottus nozawae (Pisces : Cottidae), supporting its position as endemic to the Japanese Archipelago"Biogeography. 3・1. 69-76 (2001)
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[Publications] Takahashi, H.: "Evolution of East Asian ninespine sticklebacks as shown by mitochondrial DNA control region sequences"Molecular Phylogenetics and Evolution. 21・1. 135-155 (2001)
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[Publications] Maekawa, K.: "Skewed Reproductive success among male white spotted charr land locked by artificial dam : implication to the effective population size"Ecological Research. 16・4. 727-735 (2001)
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[Publications] Kaeriyama, M.: "Increase in body size with decrease in population size of chum salmon returning to Hokkaido, Japan since late 1990s"NPAFC Newsletter. 5. 6-7 (2001)
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[Publications] 後藤 晃: "水生動物の卵サイズ-生活史の変異、種分化の生物学"海游舎. 257 (2001)