2002 Fiscal Year Annual Research Report
組み換えウイルス及びDNA接種法を用いたウイルス感染症に対する治療
Project/Area Number |
13660299
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
甲斐 一成 山口大学, 農学部, 教授 (60085628)
|
Keywords | 多価ワクチン / 複数遺伝子同時発現 / マウスレトロウイルスベクター |
Research Abstract |
本研究において、抗原遺伝子等、種々の遺伝子の同時発現を行える系の開発を第一義的に追及した。このような系の開発は多価ワクチンや或る場合にはサイトカイン遺伝子を同時発現するなどワクチン効果を高める目的に有効であると考えられる。この目的のためにマウスレトロウイルスをベクターとして発展させることにした。このウイルスは二つのメッセンジャーRNA(gag-pol, env遺伝子領域)を形成し、最低限二つの外来遺伝子の発現が可能となる。[結果]1.gag-pol, envの両領域にEGFP, EBFP遺伝子を導入し、同時発現できることを確認した。2.gag遺伝子領域の二つのinitiation codonを消去しても発現は変わらないことを確認した。3.イヌジステンパーウイルスの二つの膜蛋白遺伝子H、 Fをenv遺伝子領域に導入し、NRK, Vero細胞での発現を試みるが、確かな結果は得られなかった。4.この結果に基づき、レトロウイルスベクターLTRのエンハンサー部位をヒトサイトメガロウイルスのプロモータ配列の種々の長さの配列で置換し、薬剤耐性遺伝子発現でその効果を調べた。その結果、転写因子結合配列に違いがあるにもかかわらず、NRK、Vero細胞での発現はどれも十分であることが判明した。5.この結果に基づき、改変LTRをH、遺伝子を持つベクターに導入し、Vero細胞での発現を調べた。H、F夫々のベクターをコトランスフェクションした結果、GFPの発現を伴った細胞融合像が観察され、GFP、H, F等の遺伝子の同時発現が確認された。H遺伝子単独の場合、変性した異常細胞が観察され、F遺伝子単独の場合、融合細胞が観察されたがコトランスフェクションの場合に比べてその数は少なかった。6.未解決の問題。(1)レトロウイルスベクター系の利点の一つにパッケージングシステムを用い、一度だけ感染できるウイルス粒子を形成できる点であるが、自ら開発したシステムでも、BOSC23のシステムでも今のところ失敗している。(2)ジステンパーウイルスの膜蛋白質であるH、F蛋白質を含むシュードタイプ型粒子形成の有無を確かめることが未だできていない。(3)gag遺伝子領域のどこまでを削減してもパッケージングに影響がでないかの確認ができていない。
|
Research Products
(10 results)
-
[Publications] 相馬武久: "家庭猫における猫免疫不全ウイルス抗体、猫白血病ウイルス抗原及び猫コロナウイルス抗体の陽性率"日本獣医師会雑誌. 55. 89-93 (2002)
-
[Publications] M.Mochizuki: "Complement-mediated neutralization of canine distemper virus in vitro : Cross-reaction between vaccine Onderstepoort and field KDK-1 strains with different"Clinical AND Diagnostic Laboratory Immunology. 9. 921-924 (2002)
-
[Publications] Kakuni M: "Histology of vermiform appendix-like organ in slow loris"Exp Anim. 52. 71-75 (2003)
-
[Publications] Tanabe S: "Expression of mRNA of chemokine receptor CXCR4 in feline mammary adenocarcinoma"Vet Rec. 1;51. 729-733 (2002)
-
[Publications] Kakuni M: "Histological study on intestinal diverticulum of tree shrew (Tupaia iavanica)"Exp Anim. 151. 411-415 (2002)
-
[Publications] Shimokawa T: "A morphological study of the thyroid gland in Risso's Dolphin, Grampus griseus"JVet Med Sci. 64. 509-512 (2002)
-
[Publications] Namba Y: "A study of reproductive performance in pregnant, IL-2 receptor beta-chain overexpressed transgenic mice"J. Vet. Med. Sci. 63. 99-101 (2001)
-
[Publications] Kitamura N: "Immunohistochemical study of the ontogeny of prochymosin-and pepsinogen-producing cells in the abomasum of sheep"Anat. Histol. Embryol. 30. 231-235 (2001)
-
[Publications] Hondo E: "Molecular Cloning and Expression of Suppressor of Potassium Transport Defect 3(SKD3)in Rat Testis"J. Reprod. Dev.. 47. 173-180 (2001)
-
[Publications] Morigaki T: "Cycle of the seminiferous epithelium in the Java Fruit Bat (Pteropus vampyrus) and the Japanese Lesser Horseshoe Bat (Rhinolophus cornutus)"J. Vet. Med. Sci. 63. 773-779 (2001)