2002 Fiscal Year Annual Research Report
分子シャペロン機能を有する熱安定性オボアルブミンの構造と生理機能
Project/Area Number |
13660301
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
杉元 康志 鹿児島大学, 大学院・連合農学研究科, 教授 (10100736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松元 光春 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (30157383)
青木 孝良 鹿児島大学, 農学部, 教授 (70034460)
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Keywords | オボアルブミン / セルピン / ニワトリ / プロテアーゼインヒビター / 分子シャペロン / 熱安定性 / 構造変化 |
Research Abstract |
オボアルブミンは機能の不明なタンパク質であるが、胚発生中に構造変化を生じ、ネイティブオボアルブミンは熱安定型(HS-オボアルブミン)となる。このHS-オボアルブミンはタンパクの二次構造の変化によって起こると考えられてきたが、DSC解析の結果、熱安定型には2つのタイプが存在しており、1つは二次構造の変化が見られなかった。他の解析とも併せ、熱安定型への転換はタンパク構造の微妙な変化によっても生じることが明らかになった。オボアルブミンの機能解析では、プロテアーゼインヒビター活性はないものの、MDHやアルドラーゼなどの酵素活性を安定化させる機能があり、HS-オボアルブミンは最も効果的な作用を示し、他にも部分変性させたタンパク質を巻き戻す効果が見られた。よってオボアルブミンは分子シャペロン様機能を有することが明らかになった。オボアルブミンをin vitroの鶏胚培養系でノックアウトする方法を開発した。オボアルブミンをノックアウトした初期胚は中枢神経系の形成に異常をきたし、ステージ4胚では致死となった。ステージ7胚では神経管の形成が阻害され、体節にも異常が見られた。これらの異常はオボアルブミンをノックアウト胚に添加するとレスキューされ、正常な胚となり、神経管や体節もコントロールと変わりなく形成された。このことからオボアルブミンはアミノ酸栄養源だけでなく、タンパク質として胚組織ではたらいていることが明らかになった。オボアルブミンの機能についてはまだ不明であるが、胚発生を通じて多くのはたらきをもつものとされ、今後、形態形成との関係について追究していく。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hiyoshi, M., Takamune, K., Mita, K., Kubo, H., Sugimoto, Y., Katagiri C.: "Oviductin, the oviductal protease that mediates gamete interaction by affecting the vitelline coat in Bufo japonicus : Its molecular cloning and analyses of expression and post-translational activation"Developmental Biology. 243. 176-184 (2002)
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[Publications] Ota, A., Kusakabe, T., Sugimoto, Y., Takahashi, M., Koga, K.: "Cloning and characterization of testis-specific tektin in Bombyx mori"Comparative Biochemistry and Physiology. 133. 371-382 (2002)
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[Publications] 杉元康志, 篠原広志, 宮崎有希子: "胚発生に働く卵白タンパク質オボアルブミン"化学と生物. 40. 216-219 (2002)