2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13660310
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
政岡 俊夫 麻布大学, 獣医学部, 教授 (30063978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
印牧 信行 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (40139530)
小方 宗次 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (10063968)
福岡 秀雄 麻布大学, 獣医学部, 教授 (50063962)
嶋田 英作 麻布大学, 環境保健学部, 講師 (20130891)
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Keywords | イヌ / ネコ / 微量元素 / 血漿 / マンガン / コバルト |
Research Abstract |
生体にとって必要とされている微量及び超微量元素は、判っているだけでも20数種以上あり、酵素活性や生体機能維持に重要な役割を演じ、相互に影響をなして生体機能に変化をもたらし、また、元素の過・不足により各種の疾患が引き起こされることも知られている。近年、動物の寿命も延びる傾向が認められ、神経性疾患や老齢性疾患および慢性疾患が増加しつつあるが、これらの疾患と微量元素がどのように関わっているかを追究した研究は少ない。そこで本研究では、本学獣医臨床センター(附属動物病院)に来院したイヌ・ネコを対象に、血漿中微量元素とそれらの疾患との関連性を追究することを目的に行った。 材料は本学の附属動物病院に眼科疾患の治療で来院したイヌの内、飼い主の承諾を得ることのできた43頭から採取した血液を用いた。血液学的検査は総合血液分析装置(ABOTT Cell DYN3500)で、血漿生化学的検査は臨床化学自動分析装置(COBAS INTEGRA700)で行なった。血漿中の微量元素分析は、Co, Cr, Cu, Mn, Mo, SeおよびZnを測定対象として行った。 その結果、MnおよびCo濃度の高い個体が2例認められたが、血液学的検査および血漿生化学的検査からは異常は観察されていない。しかし、MnおよびCoの高い値を示した犬種はいずれもキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルであり、高値を示した元素は生体にとっては必須微量元素であると同時に発ガン機構にも関与していることが示唆されている。また、MnやCoは生体情報伝達の調節にも関与しおり、Mnはイノシトールリン脂質代謝やカルモジュリンとカルシウムの結合阻害、Coは神経インパルスに対して影響すると言われているが、今回の結果からは、これらの元素が関与したと考えられる疾患を見い出すことはできなかった。
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