2001 Fiscal Year Annual Research Report
我国の新興感染症「ヒトバベシア症」の疫学調査と新しい血清免疫学的診断法の確立
Project/Area Number |
13670244
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
斎藤 あつ子 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00223131)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 伸弘 福井医科大学, 医学部, 助教授 (90003409)
|
Keywords | babesiosis / Babesia microti / IFA / 保虫宿主 / 媒介マダニ |
Research Abstract |
(1)神戸大学医学部附属病院と兵庫県下主要病院の外来患者血清(約1500例)についてIFA testを行ったところ、IFAでBabesia microti, Kobe isolateまたはOtsu isolateに陽性(x512倍以上)を示したものがそれぞれ、約0.5%、 約2%あり、この中で、PCRで陽性を示したものはなかった。しかし、株間相互のまたはPlasmodium属の原虫に対するcross reactivitiesの検討から、false positiveが多く含まれると考えれれた。 (2)Westem blot解析で、日本初のヒトバベシア症患者(Kobe isolateに感染)および感染源となった献血者の血清はKobe isolateのtotal homogenateの約40KDの抗原のみを認識したが、Kobe isolate-IFA陽性者の1例は同サイズの抗原を認識し、真の陽性と考えられた。 (3)保虫宿主の検討で、献血者居住地とされる兵庫県淡路島の中部(先山地域)に限局して、赤ネズミ(約30%)にKobe isolateの感染を認めた。淡路島の南部ではOtsu isolateの感染を認めた。一方、患者居住地付近の六甲山の赤ネズミ、ヒメネズミ、ジネズミ(全体で約50%)にOtsu isolateの感染を認めた。 (4)媒介マダニの検討で、淡路島のマダニにB. microti感染を証明できなかった。一方、六甲山のヤマトマダニ1匹から、PCRでB. microti感染を認めた。本原虫のSSUr DNA塩基配列は、Kobe isolateともOtsu isolateとも異なり、我国にKobe isolate、Otsu isolateと異なるtypeのSSUr DNAを有するB.microti(またはその近縁種)が存在することが示唆された。
|
Research Products
(1 results)