2001 Fiscal Year Annual Research Report
Survivinを標的とした肝細胞癌に対する免疫・遺伝子治療の基礎研究
Project/Area Number |
13670531
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中尾 一彦 長崎大学, 保健管理センター, 講師 (00264218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 伸子 長崎大学, 保健管理センター, 教授 (20088868)
中田 恵輔 長崎大学, 医学部, 助教授 (40217740)
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Keywords | survivin / DNAワクチン / TRAIL / Interferon-α / 肝癌 / TIAP遺伝子 |
Research Abstract |
survivinはInhibitor of apoptosis protcin(IAP)ファミリーに属し、細胞増殖促進作用や抗アポトーシス作用を持ち、胎性期には種々の組織で発現しているが、成人組織ではほとんど発現していない。しかし、細胞の癌化に伴い、多くの癌で発現が認められようになる。我々は50例の肝細胞癌生検組織を用いてsurvivinの発現を検討したところ、40例に於いてsurvivinの発現が確認された。一方、正常肝組織では全く発現は認めなかった。以上のことから、本研究ではsurvivinをターゲットとした肝癌治療の可能性を探ることを目的とした。近年、survivinに対するanti-senscやdominant negativ DNAの導入により癌細胞の抗癌剤に対する感受性が増強されるとの報告が相次いでなされている。我々は、ヒト肝癌細胞株HuH-7、Hcp3Bがsurvivinを強発現していること、また、Interferon-α(IFN-α)で処理するとsurvivinの発現が著明に低下する事を新たに見い出した。しかし、これらの細胞はIFN-α単独では細胞死は誘導されないことから、近年注目されているTRAIL(TNF-related apoptosis inducing ligand)を併用添加したところ、著明な細胞死が誘導された。IFN-αによるsurvivin発現抑制がTRAILによる肝癌細胞死の増強に関与しているのではないかと推測している。一方、survivinを用いた癌免疫治療の実験は千葉大学大学院医学研究科分化制御学教室教授、徳久剛史先生より、マウスsurvivin遺伝子に相当するTIAP遺伝子を御供与頂き、これをもとにplasmid DNAワクチン療法を始めたところである。ターゲットの癌細胞はsurvivinの発現が確認されているEL-4細胞を用いることとした。これまで我々が行ってきたα-fetoprotein(AFP)遺伝子を用いたplasmid DNAワクチンの検討結果から、plasmid DNAのみのウクチンではその効果に限界があり、GMCSF、MCSF遺伝子発現plasmid DNAの併用投与や、adenovirus vectorによる追加ワクチンが必要であることが解った。よって、現在これらのサイトカイン遺伝子の併用療法やTIAP発現adenovirus vectorの作成も取り組んでいる。
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Research Products
(1 results)